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【崖の上のポニョ】あらすじをネタバレ解説!ストーリーの謎を考察

崖の上のポニョ_あらすじ

当記事では、宮崎駿監督作品『崖の上のポニョ』について、徹底解説します。

あらすじの解説はもちろん、ストーリーの謎の考察まで行います。

スタジオジブリ公式本や原作、関係者の過去インタビューをもとに解説しますので、参考になれば嬉しいです。

筆者のプロフィール
  • スタジオジブリから徒歩圏内の小金井市在住のジブリオタク
  • 好きな場所は三鷹の森ジブリ美術館
  • 最も好きな作品は「風の谷のナウシカ」

当記事は結末等のネタバレを含みますのでご注意ください。

長めの記事になりますので、目次(↓↓)から気になる所にジャンプするのもおすすめです。

目次

【まずは超簡単に】『崖の上のポニョ』のあらすじ

まずは『崖の上のポニョ』の全体像をつかんでいただくため、あらすじを手短に超簡単にまとめます。

『崖の上のポニョ』の超概要

  • 崖の上の家に住む5歳の男の子・宗介は、海辺で金魚のような生き物と出会う
  • 宗介は金魚をポニョと名付け大切に扱い、「守ってあげる」と約束する
  • 一方で人間を嫌うポニョの父・フジモトの手により、ポニョは海に戻されてしまう
  • 宗介との生活を望むポニョは、魔法の力で人間の姿となり、宗介の家を目指して脱出する
  • ポニョの脱出の際、フジモトの作った「生命の水」が海に溢れ出てしまう
  • 魔法の力で溢れた海は津波となり、ポニョは津波とともに宗介の町に帰ってくる
  • 人間となったポニョは無事に宗介と合流し、宗介の家で過ごすようになる
  • 一方で町は沈み、生態系のバランスも崩れ、地球は危機に陥っていた
  • 地球の危機を救うため、ポニョの母である海の女神・グランマンマーレは決意する
  • その決意とは、ポニョを本当の人間の子どもにすることで、魔法の力を抑えることだった
  • ポニョが人間になるためには、ポニョの正体を知ったうえでポニョを愛する男の子が必要だった
  • 宗介のまっすぐな愛を受け、ポニョは人間となり、地球は無事に救われた・・(end)

こうしてストーリーを文字に起こしてみると、なかなかぶっ飛んだお話です(笑)

『崖の上のポニョ』自体は子ども向けに作られており、難しいことを考えなくても楽しむことができる作品となっています。

以下では、『崖の上のポニョ』のあらすじをさらに詳細に解説しますので、参考になれば嬉しいです。

【ネタバレあり解説】『崖の上のポニョ』のストーリー

ここからは映画の流れに沿って、『崖の上のポニョ』のあらすじを解説します。

多くのシーンをカットしながらにはなりますが、楽しんでいただければ嬉しいです。

宗介とポニョの出会い

物語は「魚の子」ポニョの家でのシーンから始まります。

ポニョの父・フジモトの目を盗んで海を飛び出し、ポニョは5歳の男の子・宗介と出会います。

小型漁船の底引き網漁に巻き込まれたポニョは、すっぽりと空きビンに詰まってしまっていました。

崖の上のポニョ-スタジオジブリ 場面写真より

ビンを石でたたき割った宗介は、慌ててポニョをバケツに移します。

バケツの中で元気に泳ぐポニョを見て、宗介は安心した様子を見せます。

ワンポイント解説

ビンの破片で指を切ってしまった宗介ですが、その傷をポニョがペロリとなめてしまいます。

この「人間の血をなめる」という行為が、のちのち物語を大きく動かすことになります。

宗介はポニョを保育園まで連れて行きますが、そこでポニョは言葉を話し始めます。

「ポニョ、そうすけ、すき」という言葉に対して、宗介も「ぼくもすき!」と夢中で応えるのでした。

崖の上のポニョ-スタジオジブリ 場面写真より

宗介が驚きと喜びで夢中な一方で、すぐそばの海からはポニョの父・フジモトが近づいて来ていました。

フジモトの手により生まれた大波により、ポニョは海に連れ戻されてしまいます。

ポニョと引き裂かれてしまった宗介は大泣きし、その後も呆然とした表情を見せるのでした。

ワンポイント解説

ポニョの父・フジモトは深海に住む魔法使いです。

かつては人間でしたが、人間の汚らわしさに嫌気が指して海の住人となっています。

ポニョを強引に連れ去る姿は悪役にも見えますが、そこに悪意はありません。

娘のポニョを心から心配している、過保護な父親なのです。

帰ってきたポニョ

強引に海に連れ戻されたポニョは、フジモトに反抗します。

「人間になる!宗介のところ行く!」と宣言したポニョは、なんと手足を生やしてしまうのです。

ワンポイント解説

宗介の血をなめたことで、ポニョの人間のDNAが覚醒していたのです。

崖の上のポニョ-スタジオジブリ 場面写真より

一旦はフジモトの魔法で魚の姿に戻されてしまうものの、フジモトが去った後、ポニョは再び脱出します。

この脱出の際、ポニョはフジモトが作った「生命の水」を溢れかえらせてしまうのです。

ワンポイント解説

生命の水は、フジモトが研究していた魔法の液体です。

カンブリア紀に多種多様な生物が生まれた「生命大爆発」を引き起こすほどの力を持っています。

「汚らわしい人間の時代が終わり、海の時代がやってくる」とフジモトは発言していました。

「生命の水」を浴びたポニョは、いよいよ人間の子どもの姿へと変身してしまいます。

ワンポイント解説

この時のポニョは、まっすぐに無我夢中で宗介だけを目指していました。

生命の水にたどり着いたのは、ただの偶然です。(本当は窓から海の外に出ようとしただけですが、窓に穴をあけたことで海が流れこんできてしまったのです)

生命の水を浴びたことで、ポニョは強力な魔法の力を手にしてしまいます。

崖の上のポニョ-スタジオジブリ 場面写真より

生命の水が溢れた海は、津波となって宗介達の町にやってきます。

ポニョが波の上を駆け回るシーンは『崖の上のポニョ』の中でも大きな見せ場です。

嵐とともに帰ってきたポニョは、再び宗介と合流します。

崖の上のポニョ-スタジオジブリ 場面写真より

女の子になって帰ってきたポニョを、宗介も嬉しそうに受け入れました。

宗介の母・リサも不思議がるものの、ポニョを家の中に招き入れます。

そしてラーメンを食べながら、ポニョは眠ってしまうのでした。

崖の上のポニョ-スタジオジブリ 場面写真より

世界の命運を握る宗介とポニョ

生命の水が溢れてしまったことで、フジモトは大慌てです。

生態系のバランスは乱れ、地球が危機に陥ってしまいました。

ワンポイント解説

ポニョは自覚なく、地球を破滅させるほどの大きな魔法を使ってしまっていたのです。

(フジモトは「世界に大穴を開けてしまった」と表現しています)

フジモトはポニョの母であり、海の女神でもあるグランマンマーレに相談します。

ここでグランマンマーレは、「ポニョを本当の人間の子にしてしまえば良い」と閃くのです。

ワンポイント解説

男の子の心が揺るがなければ、ポニョは人間になって魔法の力を失うということでした。

ポニョが魔法の力を失えば、ポニョの魔法によって乱れた世界ももとに戻るというわけですね。

崖の上のポニョ-スタジオジブリ 場面写真より

翌朝、目を覚ましたポニョと宗介は宗介の母・リサを探して家を出ます。

リサは職場である介護施設が心配で、前の晩に様子を見に行ったのでした。

宗介のおもちゃの船を、ポニョの魔法で大きくすることで、二人の航海がスタートします。

ワンポイント解説

絵コンテでは、朝を迎えるタイミングで「宗介の試練の幕はあがる」と記載されています。

ポニョが人間になれるかどうか、宗介の「愛」が試される試練の冒険なのです。(まだ5歳なのに・・・)

崖の上のポニョ-スタジオジブリ 場面写真より

ポニョと宗介は道に沿ってリサの元を目指します。

水中には、数々の古代魚が泳いでいる姿が目撃されました。

ワンポイント解説

このシーンの海は、ポニョの魔法で覆われた海です。

美術監督の吉田昇さんは「ポニョの魔法に覆われた世界なので、子どもにとっても身近な入浴剤のような色にしている」とインタビューの中で語っています。

災害(津波)に襲われた町というわけではなく、あくまでも魔法に覆われた町なのです。

だからこそ、海に沈んだ家は倒壊していませんし、水中で物干し竿に洗濯物が干されている様子も伺えます。

途中、ポニョと宗介は赤ちゃんを連れた夫婦と出会います。

ポニョは持っていた食料を分けてあげるなど、赤ちゃんを思いやる様子を見せます。

崖の上のポニョ-スタジオジブリ 場面写真より

陸地でリサの車を発見したポニョと宗介ですが、そこにリサの姿はありません。

不安げにリサを探す宗介ですが、トンネルをくぐると今度はポニョが魚の姿に戻ってしまいます。

ワンポイント解説

美術監督の吉田昇さんは、リサの車が発見された周辺は「グランマンマーレの魔法が効いている海」と明かしています。(全体的に少し濃い色合いになっているそうです)

ポニョが眠ってしまい、魚の姿に戻ったのはグランマンマーレの力であると考えられます。

これもポニョと宗介に与えられた一種の試練なのです。

魚の姿に戻ったポニョを抱きかかえる宗介の前に、フジモトが現れます。

フジモトによって連れて行かれた世界は、グランマンマーレの魔法による不思議な水中世界でした。

ここでグランマンマーレは、宗介にポニョへの想いを確認します。

宗介はまっすぐに「お魚のポニョも、半魚人のポニョも、人間のポニョもみんな好き」と答えます。

崖の上のポニョ-スタジオジブリ 場面写真より

この宗介のまっすぐな回答をもって、ポニョは人間になることが認められます。

ポニョは魔法の力を失い、地球の危機は守られたのです。

地上に戻ったポニョは、みごとに人間に変身し、ハッピーエンドとなるのでした。

崖の上のポニョ-スタジオジブリ 場面写真より

『崖の上のポニョ』の謎を考察

『崖の上のポニョ』は、正直やや分かりにくいストーリー構成です。

セリフでは説明されていない情報も多いため、疑問を感じるシーンも多々あるでしょう。

ここでは、特に疑問の声が多い以下の3つの謎について考察します。

  • ポニョの世界は死後の世界?
  • ポニョの父・フジモトの正体
  • 赤ちゃんが登場した重要な意味

以下、順番に解説します。 

ポニョの世界は死後の世界?

『崖の上のポニョ』は死後の世界を描いた物語だという都市伝説が存在します。

最後のグランマンマーレの世界は確かに不思議な世界で、おばあちゃん達が元気に駆け回る場面が印象的でした。

崖の上のポニョ-スタジオジブリ 場面写真より

『となりのトトロ』の死亡説は明確に否定されていましたが、ポニョについては否定はされていません。

むしろ、鈴木敏夫プロデューサーはインタビューで「あの世」と発言しています。

終盤、おトキさんをはじめ、デイケアセンターのおばあちゃんたちが、あの世みたいなところへ行くでしょう。

当初の絵コンテでは、そのシーンが延々描かれていたんです。

(中略)

自分が「あの世」を見たいから描いたんでしょうけど、映画のバランスを考えるとさすがに長すぎた。

ジブリの教科書 崖の上のポニョ より引用

ポニョを制作した当時、宮崎駿監督は66歳です。

少しずつ「死」を意識し始めていたのでしょう。

「あの世はこんな感じだろう」と考えながら宮崎駿監督は描いていたのかもしれません。(宮崎駿監督自身は本件について明確には発言していません)

とはいえ、このポニョの場面を「あの世」と決めつけるのは短絡的です。

『崖の上のポニョ』は魔法の存在するSFストーリーであり、最後の場面もグランマンマーレの魔法の世界です。

おばあちゃん達が元気に地上に戻る場面も描かれていますので、これは単純にグランマンマーレの魔法の力と考えるのが自然でしょう。

以下の記事では、『崖の上のポニョ』の「あの世説」を詳細に考察しています。

詳しい考察が気になる方は以下の記事も合わせてご覧ください。

ポニョの父・フジモトの正体

崖の上のポニョ-スタジオジブリ 場面写真より

ポニョの父・フジモトは『崖の上のポニョ』の中でも不思議な存在です。

見た目は人間ですが、ポニョの父であり、海の中で生活しています。

本人も「かつては人間だった」と語っていますが、その正体は何者なのでしょうか。

映画パンフレットの中で、フジモトの正体が明かされていました。

フジモトは、ジュール・ヴェルヌのSF小説『海底二万リーグ』(1869年)に登場する潜水艦、ノーチラス号(艦長はネモ船長)の唯一のアジア人。少年だったフジモトはグランマンマーレと出会い、恋に落ちた。

それから100年、フジモトは半分人間、半分海の男として生きてきた。

崖の上のポニョ 映画パンフレット より引用

フジモトは確かに人間だったのです。

『海底二万リーグ』は『海底二万マイル』の名でディズニーでも映画化されている名作です。

その艦長・ネモ船長は人間に絶望している人物として描かれていますが、フジモトもその意思を継いでいるのでしょう。

フジモトについては以下の記事でも詳細に解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。

赤ちゃんが登場した重要な意味

崖の上のポニョ-スタジオジブリ 場面写真より

物語の終盤で、ポニョと赤ちゃんのふれあいが描かれます。

ポニョはどうして赤ちゃんに強く興味を示したのか、疑問に感じた方もいるのではないでしょうか。

ワンポイント解説

何気ないシーンですが、ポニョの変化がはっきりと描かれた場面です。

これまで欲望のままに行動し、地球の危機まで起こしてしまったポニョが、初めて他人を思いやっています。

人間に生まれ変わっても、人間としてうまくやっていけることを示しているのでしょう。

『崖の上のポニョ』の登場人物/声優(キャスト)

『崖の上のポニョ』には、特徴的で魅力的なキャラクターが多数登場します。

  • ポニョ(声優:奈良柚莉愛)
  • 宗介(声優:土井洋輝)
  • リサ(声優:山口智子)
  • フジモト(声優:所ジョージ)
  • グランマンマーレ(声優:天海祐希)

などなど、登場人物については以下の記事でまとめてみました。

登場人物について知りたい方は、こちらの記事もぜひ合わせてご覧ください。

『崖の上のポニョ』の元ネタ(原作やモデルの地)

『崖の上のポニョ』は宮崎駿監督のオリジナルストーリーで、原作はありません。

しいて言うならば80年代の童話『人魚姫』(ハンス・クリスチャン・アンデルセン)がモチーフとして挙げられますが、ストーリーは全くの別物です。

また、モデルの地は広島県の鞆の浦です。

鞆の浦には宮崎駿監督自身が長期滞在し、ポニョの構成を練った経緯があります。

ポニョの原作やモデルの地については、以下の記事で詳細に解説していますので、ぜひこちらも合わせてご覧ください。

『崖の上のポニョ』の記事執筆における参考書籍

まつぼくらぶでは『崖の上のポニョ』の記事を執筆するにあたり、主に以下の書籍を参考にしています。

  • ジブリの教科書15 崖の上のポニョ(文春ジブリ文庫)
  • ロマンアルバム 崖の上のポニョ(徳間書店)
  • スタジオジブリ絵コンテ全集 崖の上のポニョ(徳間書店)
  • THE ART OF Ponyo on the Cliff(徳間書店)
  • 続・風の帰る場所(ロッキング・オン)
ジブリの教科書15 崖の上のポニョ(文春ジブリ文庫)

過去のインタビュー内容等を参考、引用しています。

編集:スタジオジブリ, 編集:文春文庫
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ロマンアルバム 崖の上のポニョ(徳間書店)

インタビューや設定情報が記載された公式のムック本です。

スタジオジブリ絵コンテ全集 崖の上のポニョ(徳間書店)

『崖の上のポニョ』の制作に使用された絵コンテです。

THE ART OF Ponyo on the Cliff(徳間書店)

イメージボードやアフレコ台本等、制作時の資料が多数掲載されています。

続・風の帰る場所(ロッキング・オン)

ここでしか語られない、独自インタビューが掲載されています。

ポニョについても70ページ近くのボリュームで語られており、参考になります。

なお、作品の画像はスタジオジブリ公式サイトから無償提供されている場面写真を使用しております。

崖の上のポニョ スタジオジブリ場面写真

当記事の拡散は大歓迎です

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