当記事では『崖の上のポニョ』に登場するグランマンマーレについて解説します。
グランマンマーレはポニョのお母さんであり、海の女神であるというキャラクターです。
映画を見ているだけではわからない裏話も紹介しますので、参考になれば嬉しいです。
以下の記事では『崖の上のポニョ』のストーリーを徹底解説しています。
なかなかボリュームの多い記事ですが、この記事でポニョの理解が深まれば嬉しいです。
- スタジオジブリから徒歩圏内の小金井市在住のジブリオタク
- 好きな場所は三鷹の森ジブリ美術館
- 最も好きな作品は「風の谷のナウシカ」
当記事は結末等のネタバレを含みますのでご注意ください。
『崖の上のポニョ』グランマンマーレの基本情報
本名 | グランマンマーレ |
年齢 | 不明 |
声優 | 天海祐希 |
一言プロフィール | すべてを包み込む海の女神 |
ポニョの母であり、海の女神です。
「神」と呼ぶにゆさわしい場面がいくつも描かれています。
- 海の中で神々しく輝いており、夫のフジモトでさえ滅多に会えない
- エンジンが止まった船をあっという間に復活させてしまう
- グランマンマーレを目撃した船乗りからは「観音様」と拝まれた
- 人間の大きさから船のサイズまで、大きさも自由自在
- ポニョからは「とっても怖いけど大好き」と言われている
このようなグランマンマーレについて、ここでは以下の観点で掘り下げます。
- とっても怖い?ポニョのお母さん
- 海の生命を見守ってきた海の女神
- 声優は女優の天海祐希さん
とっても怖い?ポニョのお母さん
グランマンマーレはポニョのお母さんです。
ポニョからは「とっても怖いが大好き」と言われています。
ポニョ「お母さん大スキ!とーってもこわいよ!」
この言葉のとおり、厳しくも優しい、素敵なお母さんなのでしょう。
ポニョは父親のフジモトは「悪い魔法使い」呼ばわりしており、反抗的な態度を取っています。
父と母で対照的な態度ですが、いい意味で役割分担がはっきりした両親なのかもしれませんね。
ポニョの父・フジモトについての詳細はこちら
海の生命を見守ってきた海の女神
グランマンマーレはその姿のとおり、海の女神です。
「長い間海を見守ってきた存在」としてロマンアルバムの中でも紹介されています。
身体の大きさも自由自在、機能停止した船を復活させるなど、全知全能感のあるキャラクターです。
グランマンマーレの子どもと考えると、ポニョは「魚の子」ではなく「神の子」と言えるかもしれませんね。
声優は女優の天海祐希さん
グランマンマーレの声優は天海祐希さんです。
映画やドラマなどに大活躍している女優さんですが、劇場アニメの出演ははじめてのことでした。
以下は、舞台挨拶の天海祐希さんのコメントです。
「色っぽくお願いします」と言われて、「あぁ、どうしよう?ちょっと私には難しかったのかな……」と思いながらもやらせていただきました。
ロマンアルバム 崖の上のポニョより引用
「難しかった」とコメントされていますが、見事に「女神」をやりきってくれていますね。
グランマンマーレに関する裏話
ここからは映画を見ているだけではわからない、グランマンマーレの裏話を紹介します。
- グランマンマーレの正体はチョウチンアンコウ
- 水没した町はグランマンマーレの魔法がかかっている
- 広島県鞆の浦のおっぱい観音
グランマンマーレの正体はチョウチンアンコウ
ロマンアルバムの情報によると、グランマンマーレは姿を自由自在に変えることができます。
映画の中でも、体の大きさを場面に応じて変更していますし、実は顔つきも大きさによって少し異なっています。
この姿が自由自在のグランマンマーレの正体は、「チョウチンアンコウ」であることを宮崎駿監督は明かしています。
あのお母さんだって本当は巨大なアンコウなんだとかね。(中略)
でも差し渡し1キロのアンコウが出てきても画面の中にどう入れていいかわかんないから(笑)、ちゃんと人間の姿を取ることもできて、その代わり大きさは自由自在っていう。
続・風の帰る場所より
映画の中では人間の相手をしているから、たまたま人間の姿に変身していただけなのです。
映画冒頭でフジモトが大王イカにうっとりする様子が描かれていますが、この大王イカもひょっとするとグランマンマーレの変身だったのかもしれませんね。
ちなみにチョウチンアンコウはオスがメスに寄生するという特徴があります。
オスはメスに嚙みついて栄養分を分けてもらいますが、次第にメスの身体に取り込まれていくのです。
最終的にはメスの身体に完全に同化し、オスはメスの一部となってしまいます。
グランマンマーレとフジモトが会話する場面の絵コンテでは、「アンコウ状態のフジモト」と記載されています。
宮崎駿監督のことなので、当然アンコウの生態を知ったうえでこの設定を考えたのでしょう。
フジモトも将来的には、グランマンマーレの一部に同化していくのかもしれません。
フジモトのその他の詳細な設定についてはこちらをご覧ください。
水没した町はグランマンマーレの魔法がかかっている
ポニョとともにやってきた津波によって、宗介達の街は海に沈んでしまいます。
ただ、津波にのみこまれたわりには、建物は壊れていないどころか、町は美しく描かれています。
実はこれは、グランマンマーレの魔法の力であると宮崎駿監督はインタビューで語っています。
水が引いたあとめちゃくちゃになってると困るじゃないですか。ポニョがこれから生きていくところが。
だからお母さんが一生懸命魔法をかけて、ドアを開けてみたら中は乾いていたみたいな世界にしようと、壊れてない街を描いたんですけど。そう思ってくれない人が多くて困ってるんですよ(笑)
続・風の帰る場所より
インタビューに登場する「そう思ってくれない人」とは、おそらく都市伝説について指しているのでしょう。
海に沈む町があまりにも美しいため、「あれは死後の世界だ」という都市伝説が存在するのです。
都市伝説についてはこちら!
また、美術監督の吉田昇さんは、グランマンマーレの魔法を意識して海の色を変えていると語っています。
船で行った先にある樹海のような場所では、今度はグランマンマーレが宗介に与えた試練の魔法が効いているためか、全体にちょっと濃い色合いにしています。
THE ART OF Ponyo on the Cliffより
このあたりの細かいこだわりは、さすがのジブリですね。
広島県鞆の浦のおっぱい観音
グランマンマーレは耕一をはじめ、船乗りたちから「観音様」として拝まれています。
グランマンマーレを見た目だけで考えると「観音様」というよりも、「女神様」のほうがしっくりきますよね。
絵コンテにもわざわざ「観音様」と記載されている箇所もあるのですが、何か意味はあるのでしょうか。
おそらく「観音様」という単語は、広島県鞆の浦の「おっぱい観音」の影響を受けています。
『崖の上のポニョ』は広島県鞆の浦がモデルの地となっていますが、ここに有名な「おっぱい観音」が存在するのです。
『崖の上のポニョ』のモデルの地についてはこちらをご参照ください。
鞆の浦は宮崎駿監督が長期滞在して構想を練った地であるため、鞆の浦のエッセンスを散りばめたのかもしれませんね。
『崖の上のポニョ』の記事執筆における参考書籍
まつぼくらぶでは『崖の上のポニョ』の記事を執筆するにあたり、主に以下の書籍を参考にしています。
- ジブリの教科書15 崖の上のポニョ(文春ジブリ文庫)
- ロマンアルバム 崖の上のポニョ(徳間書店)
- スタジオジブリ絵コンテ全集 崖の上のポニョ(徳間書店)
- THE ART OF Ponyo on the Cliff(徳間書店)
- 続・風の帰る場所(ロッキング・オン)
- ジブリの教科書15 崖の上のポニョ(文春ジブリ文庫)
-
過去のインタビュー内容等を参考、引用しています。
ポチップ - ロマンアルバム 崖の上のポニョ(徳間書店)
-
インタビューや設定情報が記載された公式のムック本です。
- スタジオジブリ絵コンテ全集 崖の上のポニョ(徳間書店)
-
『崖の上のポニョ』の制作に使用された絵コンテです。
ポチップ - THE ART OF Ponyo on the Cliff(徳間書店)
-
イメージボードやアフレコ台本等、制作時の資料が多数掲載されています。
著:スタジオジブリ¥3,038 (2023/04/28 15:07時点 | Amazon調べ)ポチップ - 続・風の帰る場所(ロッキング・オン)
-
ここでしか語られない、独自インタビューが掲載されています。
ポニョについても70ページ近くのボリュームで語られており、参考になります。
ポチップ
なお、作品の画像はスタジオジブリ公式サイトから無償提供されている場面写真を使用しております。