当記事では、『天空の城ラピュタ』のヒロイン・シータについて解説します。
物語のカギを握る、超重要人物ですね。
映画を見ているだけでは分からない裏話も紹介しますので、参考になれば嬉しいです。
以下の記事では『天空の城ラピュタ』のストーリーを徹底解説しています。
なかなかボリュームの多い記事ですが、ラピュタ好きに読んでもらえると嬉しいです。
- スタジオジブリから徒歩圏内の小金井市在住のジブリオタク
- 好きな場所は三鷹の森ジブリ美術館
- 最も好きな作品は「風の谷のナウシカ」
当記事は結末等のネタバレを含みますのでご注意ください。
『天空の城ラピュタ』ヒロイン・シータの基本設定
名前 | シータ (リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ) |
年齢 | 12歳 |
声優 | 横沢啓子 |
一言プロフィール | 「飛行石」を持つ空から降ってきた少女 |
空から降ってきた少女・シータがこの物語のヒロインです。
ラピュタ人の末裔であり、「リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ」という継承名を持っています。
一見おしとやかな可愛らしい女の子ですが、度胸や行動力も持ったキャラクターです。
ここでは、以下の観点でシータの基本設定を紹介します。
- 大胆で度胸のある少女
- 山育ちで運動神経バツグン
- 「真の王」の名を持つラピュタの承継者
- 声優は横沢啓子さん
ぜひ順番にご覧ください。
大胆で度胸のある少女
シータといえば、おしとやかな可愛い女の子というイメージの方が多いのではないでしょうか。
ただ、ドーラに「あたしの若いころにそっくり」と言われるほど、度胸もすわった一面も持っています。
シータの大胆で度胸のある一面
- 逃亡するため、飛行船でムスカを殴り倒す
- ラピュタの本当の姿を見たいという目標のため、海賊船に乗船する
- 海賊船の中でも堂々と家事をこなす(海賊たちを上手くあしらっている)
- ムスカの野望を止めるため、ムスカに立ち向かう
シータは決して、「パズーに守られるか弱い女の子」というわけではないのです。
山育ちで運動神経バツグン
シータはいたるところで、軽やかな動きを見せます。
シータはゴンドアの谷で野山を駆け回って育っているので、運動神経には自信があるのです。
パズーもラピュタに到着してからは、「シータは木登り平気だよね」と言いながら、なかなか険しい道を進んでいきました。
「真の王」の名を持つラピュタの承継者
シータはラピュタ人の末裔として、「リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ」という名を承継しています。
これは訳すと「ラピュタの真の王・リュシータ」となります。
ラピュタ語では、以下のような意味を持っているのです。
- トエル:真の
- ウル:王
なお、ムスカは「ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ」という名を持っていました。
パロは「従属する」という意味を持っていますので、つまりムスカは「ラピュタの王の分家の子孫」ということになります。
ラピュタの「真の王」はシータなので、ムスカはシータにコンプレックスを持っていたのかもしれませんね。
シータに関する裏話
ここからは、映画を見ているだけでは知ることができない、シータに関する裏話を紹介します。
「シータ」の名前の由来
シータの名前の由来は、数学のθ(シータ)です。
学生時代に考えた人形劇のヒロインの名前だったものを、『天空の城ラピュタ』に流用したと宮崎駿監督は語っています。
シータの名前は数学のθ(シータ)からとったものです。不思議な文字だなあと思ったんです。
「ラーマーヤナ」にもシータという名の王女が出てくるんですが、ぼくにとってはギリシャ文字のθです。
The art of Laputa―天空の城ラピュタ より引用
ネットで調べると、シータのモデルは「ラーマーヤナの王女」である、とする説も出てきます。
ただ、これは宮崎駿監督の発言のとおり、事実ではありません。
シータの由来はあくまでも数学のθなのです。
ラピュタの物語自体は「ラーマーヤナ」の影響も受けていますので、誤解してしまうのも仕方ないですね。
シータの畑が実るのは飛行石のおかげ・・?
シータの畑と飛行石について、以下のような宮崎駿監督の発言が紹介されることがあります。
シータの畑と飛行石
- シータは両親を亡くして、ゴンドアの谷で一人で暮らしていた。
- シータの畑が豊作に恵まれたのは、シータの家に存在する飛行石のおかげ。
- 飛行石は植物を活性化する力を持っているため、畑も豊に実った。
- ラピュタが木々に覆われていたのも、飛行石の力のおかげ
面白い裏設定なのですが、これは宮崎駿監督の冗談を切り抜いたものです。
実際は宮崎駿監督は、ラピュタの木の設定を問われて、「細かく理由付けしたってつまらない」と発言しているのです。
少々長めの引用になりますが、実際のインタビュー内容を掲載します。
木が大きくなったのは飛行石のせいです(笑)
12,3歳のシータがたったひとりで、なぜ生活を営んでいくことができたのかー
それはシータの家の暖炉に隠された飛行石のおかげで、シータの畑がよく実ったからです(笑)・・そんなこといっても仕方がないでしょう。
いったとたん、つまらなくなる。(中略)
だから、ラピュタに生えている木、それはたまたま木が生えたんで、理屈はどうでもいいことなんです。
ジブリの教科書 天空の城ラピュタ より引用
この件については、「理屈はどうでもいい」といのが宮崎駿監督の結論ですね。
シータとパズーの「キスシーン」
大前提として、『天空の城ラピュタ』にキスシーンは存在しません(笑)
ただし、宮崎駿監督が過去のインタビューで、「なぜパズーとシータはキスをしなかったのか」と迫られ、回答したことがあるのです。
『風に帰る場所」に掲載された渋谷陽一さんによるインタビューです。
渋谷さんがこだわったのがこちらのシーンです。
「紐に結ばれた男女が目的地に到達して、密着してゴロゴロ転げまわって、笑顔で顔を見合わせる。このシチュエーションでキスをしないわけない」と渋谷さんは指摘します(笑)
これに対して宮崎駿監督は、以下のように回答しています。
いや、しないと思います、僕は。
そんなことやったら、別の関係になっちゃうから。それはもうハリウッド映画の悪い影響です。
風の帰る場所 より引用
ラピュタに着いたけど、これからなにが起こるか本当にわかんないっていうときに、転がってキスして達成感を味わうなんていうことをやってる暇はないですよ。
風の帰る場所 より引用
明確にキスシーンの必要性を否定したわけですが、一方で、「やってることはやっている」とも発言しています。
僕はそういうことはしなくても、十分あの映画はやってると思ってるからいいんです、もう(笑)
風の帰る場所 より引用
そのシーンの例として挙げられたのが、パズーとシータが凧に乗り込むシーンです。
宮崎駿監督がアニメーターに指導した(叱った)エピソードが語られています。
宮崎駿監督が指導した内容
- 密着した状態で、パズーはシータの胸のふくらみを感じている
- だからこそ、パズーは毅然とした態度を取っている
- こうした心情を考えて絵を描けとアニメーターに指導した
宮崎駿監督は分かりやすいキスシーンは描きませんが、男女の心情はしっかりと各所に散りばめているのです。
小説版で描かれるシータのエピソード
『天空の城ラピュタ』には明確な原作は存在しませんが、小説版のエピソードが存在します。
小説版では、映画では描かれていない場面がいくつか描かれています。
ここでは、小説限定の以下のエピソードについて簡単に紹介します。
- シータが軍隊にさらわれるシーン
- ラピュタ崩壊後のシータのその後
シータが軍隊にさらわれるシーン
映画では、シータが軍隊に連れられる飛行船を、ドーラ一家が襲撃するシーンから始まりました。
小説版では、このさらに前のシーンも描かれています。
そのシーンの中には、シータが軍隊にさらわれるシーンも描かれているのです。
小説で描かれた描写
- 国の最北端、ゴンドアの谷にムスカとその部下が訪れる様子
- ムスカがシータをゴンドアの谷から連れ出した経緯
- ムスカがシータの家の暖炉から、飛行石を見つけた場面
ラピュタ崩壊後のシータの「その後」
実は小説版の『天空の城ラピュタ』では、映画にはない「その後」が描かれています。
そのシーンでは、パズーはスラッグ渓谷へ、シータはゴンドアの谷へと戻っています。
二人はともに暮らすのではなく、もとの生活に戻ったわけです。
小説では、パズーがシータに宛てた手紙が描かれています。
パズーからシータの手紙
- 政府は「ラピュタ」のことを無かったことにしようとしている
- オーニソプターが完成に近づいている
- ゴンドアまでの航空地図は完成している
- ドーラと思われる海賊が、軍の給料を盗んだ新聞記事が出ていた
『天空の城ラピュタ』の記事執筆における参考書籍
まつぼくらぶでは『天空の城ラピュタ』の記事を執筆するにあたり、主に以下の書籍を参考にしています。
- ジブリの教科書2 天空の城ラピュタ(文春ジブリ文庫)
- ロマンアルバム 天空の城ラピュタ(徳間書店)
- スタジオジブリ絵コンテ全集 天空の城ラピュタ(徳間書店)
- The art of Laputa―天空の城ラピュタ(徳間書店)
- もう一つの「バルス」 ―宮崎駿と『天空の城ラピュタ』の時代― (講談社文庫)
- 小説 天空の城ラピュタ (アニメージュ文庫)
- ジブリの教科書2 天空の城ラピュタ(文春ジブリ文庫)
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過去のインタビュー内容等を参考、引用しています。
ポチップ - ロマンアルバム 天空の城ラピュタ(徳間書店)
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インタビューや設定情報が記載された公式のムック本です。
- スタジオジブリ絵コンテ全集 天空の城ラピュタ(徳間書店)
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『天空の城ラピュタ』の制作に使用された絵コンテです。
ポチップ - The art of Laputa―天空の城ラピュタ(徳間書店)
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イメージボードやアフレコ台本等、制作時の資料が多数掲載されています。
ポチップ - もう一つの「バルス」 ―宮崎駿と『天空の城ラピュタ』の時代― (講談社文庫)
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ラピュタ制作スタッフが明かす、裏エピソードが語られます。
ポチップ - 小説 天空の城ラピュタ (アニメージュ文庫)
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『天空の城ラピュタ』の小説版です。
映画では説明が省略された、様々な設定を知ることができます。
ポチップポチップ
なお、作品の画像はスタジオジブリ公式サイトから無償提供されている場面写真を使用しております。