当記事では、大人気ですが謎の多いキャラクター「トトロ」についてその正体を解説します。
トトロには細かい設定が多数存在します。
根拠のない都市伝説ではなく、公式本やジブリ関係者の発言をもとに解説します。参考になれば幸いです。
- スタジオジブリから徒歩圏内の小金井市在住のジブリオタク
- 好きな場所は三鷹の森ジブリ美術館
- 最も好きな作品は「風の谷のナウシカ」
当記事は結末等のネタバレを含みますのでご注意ください。
トトロの基本情報【年齢・声優】
トトロの基本情報は以下のとおりです。
本名 | 不明 (メイによりトトロと命名) |
年齢 | 大:1302歳 中:679歳 小:109歳 ※諸説あり |
一言プロフィール | 人間には見えない森の主 |
声優 | 高木均 |
「THE ART OF となりのトトロ」に掲載されたイメージボードには、トトロの年齢は1302歳と記載されています。
これが広まり、「トトロの年齢は1302歳だ」という説が有名なのですが、宮崎駿監督は「トトロは3000年生きている」とも発言しています。
トトロの年齢には諸説ありますが、とにかく昔から日本に住んでいる生き物なのです。
【トトロの正体】公式に語られたトトロの詳細設定
ここからは、公式本や宮崎駿監督のインタビュー等で語られているトトロの詳細設定や裏話を紹介します。
ただ映画を見ただけでは分からない詳細設定を知ることで、トトロの正体を深く理解できるはずです。
この国に昔から住んでいる「トトロ族」
ロマンアルバム等の公式本では、トトロは「昔からこの国に住んでいる生き物」とだけ語られています。
これについてスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが、驚きの裏話を明らかにしています。
トトロは人間との争いに敗れた「トトロ族」の末裔だというのです。
2016年にLINE LIVEで配信された、以下3名(肩書は当時のもの)の対談で暴露されています。
- 鈴木敏夫さん(スタジオジブリ代表取締役プロデューサー)
- 押井守さん(映画監督)
- 川上量生(ドワンゴ創業者・ジブリプロデューサー見習い)
2時間近い対談の、中盤(47分頃)にその発言は飛び出しました。以下、鈴木さんの発言の抜粋です。
トトロだってね、一番最初に僕が聞いた話ではね、かつてトトロ族ってのがいたんですよ。
太古の昔ね、要するに、人間とトトロ族が戦うんですよ。それで人間の方が優れてたっていうかね、トトロ族がやっつけられちゃうわけ。
その中の、生き残りがいたんですよ。それが時代時代の中でひょこっと顔をだす、それがある時はもののけと呼ばれたりね、ある時はお化けと言われたり、そういう話だったんですよ。
(中略)
現代においては、所沢にトトロ族の末裔がひょこっと顔を出したという話なんだと言い出すわけですよ。
森の中にひっそり暮らすのが「トトロ」だと思っていた方にとっては衝撃の事実ではないでしょうか。
映画ではバッサリとカットされた設定ですが、実際に宮崎駿監督はイメージボードも描いていたようです。
では、トトロとは何者なのでしょうか。
その本質は、宮崎駿監督が繰り返し語っている思想「アニミズム」にヒントがあると考えられます。
なにかがいる気がする。その「こわい」という気持ちが、日本人にとってはある種の森とかそういうものに対する尊敬の念でーようするに、原始宗教、アニミズムなんですね。
ロマンアルバム となりのトトロ 宮崎駿監督インタビューより
草木や川をはじめ、自然界の万物に魂が宿るとする考えが「アニミズム」です。
宮崎駿監督が明言したわけではありませんが、自然の魂を生き物として具現化したのが「トトロ」なのではないでしょうか。
太古の昔は自然の中で堂々と暮らしていた「トトロ族」が、人間に滅ぼされ、今はひっそりと森の奥で暮らしているのです。
本名は「ミミンズク」!?
「THE ART OF となりのトトロ」に掲載されたイメージボードには、様々な設定のメモ書きが残されています。
その中には、トトロの本名も以下のように記載されているのです。
- 大トトロ:ミミンズク
- 中トトロ:ズク
- 小トトロ:ミン
「THE ART OF となりのトトロ」には以下のような設定も記載されています。
- 大トトロが祖父、中トトロが父、小トトロが息子
- 大トトロが1302歳、中トトロが679歳、小トトロが109歳
これらはあくまでイメージボードの構想ですので、最終的な設定とは異なる可能性がありますのでご注意ください(実際に宮崎駿監督の発言と矛盾することも多いです)
なお、映画パンフレットで宮崎駿監督は「名前は誰も知りません」と語っています。
メイはトトロと出会った際、トトロの鳴き声を聞いて「あなたトトロっていうのね!」と名前を知りました。
ただ実はトトロの鳴き声はロマンアルバムの中では「ドゥオ、ドゥオ、ヴォロロロロ・・・!!」(訳:ねむいヨォー)と記載されており、単に眠たかっただけなのです。
本当の名前は不明で、名前があるのかすらもわかりません。
人間的ではないトトロの性格
『となりのトトロ』のクライマックスは、トトロがサツキに救いの手を差し伸べることでハッピーエンドに向かいます。
これを見て「サツキとメイに同情したトトロが助けてくれた」と感じた方は多いでしょう。
しかし宮崎駿監督は、このシーンについて以下のように語っています。
サツキが悲しんでいるから、トトロが同情したっていう描写は、一切しないと決めていました。
サツキがメイを探しているところもとてもかわいい。メイなんかすぐそこにいるじゃないか。だから、それじゃサービスして、ネコバスで連れてってやった・・・ただそれだけですよ、あのシーンは。サービスしたって意識もないかもしれないですね。
ロマンアルバム となりのトトロ 宮崎駿監督インタビューより
トトロはそのボケーーっとした雰囲気の通り、自由できままな性格なのでしょう。
人間とは時間の流れ方も、懐の大きさも違うのではないでしょうか。
だからこそ、「サツキやメイが可哀そうな状態にすら見えなかった」ということですね。
なお、ロマンアルバムでは泣いているサツキを見たトトロのセリフとして「ヴォロロロロォ・・・!(訳:かわいい~)」と記されています。
【トトロと道具】「傘」の裏話
サツキがバス停でトトロに傘を差しだすシーンです。
実は当初は「翌日に玄関に傘とドングリが置いてある」というエピソード案が存在しました。
結果的にはこのエピソードはカットされるのですが、宮崎駿監督は以下のように語っています。
あの傘をトトロは、なにかすてきな楽器だと思ったんです。楽器をくれたんだから、返すはずはない。
じゃ、その場でお返しのドングリをやればいいやと思ったんです。
ロマンアルバム となりのトトロ 宮崎駿監督インタビューより
よくよく考えると、自然にとっては恵でもあるはずの雨を、トトロが避けたがるのは違和感がありますよね。
トトロには「雨を避ける」という発想が無いのでしょう。
実際にストーリーの中でも、雨が降っていないにもかかわらず、嬉しそうに傘をさしているシーンも登場します。
【トトロと道具】「コマ」の裏話
宮崎駿監督作品と言えば、飛行シーンが描かれることが多いのが特徴の一つです。
トトロの飛行シーンといえば、コマに乗ったトトロがサツキやメイ達と夜空を舞うシーンですよね。
フワフワと浮いたコマに乗るので、「トトロはコマを使って空を飛ぶ」と思っている方もいるのではないでしょうか。
実は、「本当はコマが無くても飛べる」ということが公式本(ロマンアルバム)の中で明らかになっています。
トトロは単純にコマを使うのが楽しいから使っているだけなのです。
宮崎駿監督はトトロとコマについて以下のように語っています。
江戸時代に遊んだ男の子のマネしてコマ回しをやっているんでしょう(笑)
トトロは三千年も生きてますから、本人にとってはついこの間、習ったことなんです。
ロマンアルバム となりのトトロ 宮崎駿監督インタビューより
【トトロと道具】「縄文土器」の裏話
最初にトトロとメイが出会う場面で、土器のようなものが置かれていることに気付いたでしょうか。
この答えは公式本(ロマンアルバム)の中に書かれていました。
トトロの主食はドングリです。
(中略)大好きなドングリは、土器の中にためてあります。この土器は、トトロが縄文人に学んで使うようになったものです。
ロマンアルバム となりのトトロ より
トトロといえばドングリというイメージはありますが、主食だったのですね(笑)
コマや土器、他にはオカリナ等、トトロは人間から習って道具を使いこなしているのですね。
かつては人間と争ったトトロ族ですが、『となりのトトロ』に登場するトトロは人間と良好な関係を築いていそうです。
『もののけ姫』のこだまは成長するとトトロになる
知る人ぞ知る裏設定ですが、『もののけ姫』のコダマは成長するとトトロになると言われています。
『もののけ姫』制作の際の後付けの設定ですが、なかなか夢がありますね。
このエピソードは以下の記事で詳細に解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
【都市伝説】トトロは「死神」説は公式に否定されている
トトロの裏設定といえば、「トトロは実は死神だ」という話を聞いたことはありますでしょうか。
これは有名ですがデタラメな都市伝説です。
ジブリは公式にこの都市伝説を否定しており、2007年5月のジブリ日誌にもはっきりと書かれています。
外部サイト:ジブリ日誌(2007年5月)
公式に否定された都市伝説については、以下の記事でまとめましたので、どういった噂が広がっていたのか気になる方はこちらもぜひご覧ください。
『となりのトトロ』の記事執筆における参考書籍
まつぼくらぶでは『となりのトトロ』の記事を執筆するにあたり、主に以下の書籍を参考にしています。
- ジブリの教科書3 となりのトトロ(文春ジブリ文庫)
- ロマンアルバム となりのトトロ(徳間書店)
- スタジオジブリ絵コンテ全集 となりのトトロ(徳間書店)
- ふたりのトトロ(講談社)
- ジブリの教科書3 となりのトトロ(文春ジブリ文庫)
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過去のインタビュー内容等を参考、引用しています。
- ロマンアルバム となりのトトロ(徳間書店)
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インタビューや設定情報が記載された公式のムック本です。
- スタジオジブリ絵コンテ全集 となりのトトロ(徳間書店)
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『となりのトトロ』の制作に使用された絵コンテです。
ポチップ - ふたりのトトロ(講談社)
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『となりのトトロ』で制作デスクを務めた木原浩勝さんの著書です。
デスク目線でのエピソードが掲載されている貴重な資料です。2018年出版と、比較的新しいのも特徴です。
ポチップ
なお、作品の画像はスタジオジブリ公式サイトから無償提供されている場面写真を使用しております。