本ページはプロモーションが含まれています。

【となりのトトロ】ジブリ公認!宮崎駿が語った作品の設定・裏話

となりのトトロ_ 裏話

当記事では、『となりのトトロ』に関する設定や裏話を紹介します。

巷で噂される根拠のない都市伝説ではなく、公式書籍やインタビューで裏が取れた内容です。

参考になれば幸いです。

筆者のプロフィール
  • スタジオジブリから徒歩圏内の小金井市在住のジブリオタク
  • 好きな場所は三鷹の森ジブリ美術館
  • 最も好きな作品は「風の谷のナウシカ」

当記事は結末等のネタバレを含みますのでご注意ください。

目次

【公認】『となりのトトロ』の知られざる設定・裏話

『となりのトトロ』に関する設定として、以下の観点で紹介します。

  • 時代設定は「昭和30年代前半の日本」
  • 土地設定は「埼玉県所沢市」
  • サツキとメイの家は病人を療養するための家
  • トトロとの出会いは実は「夢」?
  • トトロの目が望遠レンズ!?幻の1シーン
  • プロローグ無し!オープニングは宮崎駿監督のこだわり

なお、登場人物(キャラクター)に関する設定やエピソードは以下の記事で紹介していますので、こちらもぜひ合わせてご覧ください。

時代設定は「昭和30年代前半の日本」?

『となりのトトロ』に関する本や設定資料では、舞台は昭和30年代初期とされています。

これに関して、宮崎駿監督の興味深い発言が見つかりました。

昭和三十年代初期というのは、実は嘘で、本当をいうと、テレビがまだない時代の話なんです。

ロマンアルバム となりのトトロ 宮崎駿監督インタビューより

NHKがテレビの本放送を始めたのが昭和28年(1953年)のことです。

宮崎駿監督のこの発言を正解とすると、トトロの時代設定は1953年よりも前、終戦後間もない時代ということになります。

作品を作るうちに当初の設定とずれてしまうことは珍しくない(※)ため、時代設定も制作の過程で見直したのでしょう。

※設定と最終形でずれているもの
→サツキの年齢(当初設定は小学4年生だったが、後に6年生に見直された)
→トトロの年齢(当初は1302歳との記載があったが、後に宮崎駿監督は「トトロは3000年生きている」と発言)

土地設定は「埼玉県所沢市」?

『となりのトトロ』の舞台となった土地は、埼玉県所沢市です。

スタジオジブリの公式サイト上でも、「ここが、舞台といえるもの」として挙げられています。

外部サイト:スタジオジブリ(Q&A)

一方で、宮崎駿監督自身は以下のようにも語っています。

あの物語の舞台は、実はいろいろな所から取っているんです。聖蹟桜ヶ丘の日本アニメーションの近くとか、自分が子どもの頃見て育った神田川の流域とか、今住んでいる所沢の風景とか、みんな混ざっちゃったんです。

それに美術の男鹿和雄さんが秋田の出身だから、なんとなく秋田らしくもなってるんですよ(笑)

ロマンアルバム となりのトトロ 宮崎駿監督インタビューより

主要な舞台は所沢に据えているとしても、自然の風景は様々な景色・記憶から持ってきたわけですね。

なお、「トトロ」という言葉は「所沢にいるとなりのおばけ」という仮タイトルが縮まって生まれたものです。

トトロの舞台となった土地については、岩波書店の『トトロの生まれたところ』が参考になります。

監修:宮崎 駿, 編集:スタジオジブリ
¥1,320 (2023/04/28 10:47時点 | Amazon調べ)

所沢の土地の写真や、所沢に関する宮崎駿監督のインタビューも掲載されています。

※情報量は多くないので、かなりのオタク向けです(笑)

サツキとメイの家は病人を療養するための家

「ボロ」でお馴染みのサツキとメイの家には、知られざる裏設定が存在します。

僕は、基本的にあの家は、病人を療養させるために建てた離れのある別荘だと思ってるんです。
結核患者の人のために建てた離れなんですね。で、その人が死んでしまったので、そのまま用なしになって空いてた家なんです。これは裏設定ですけどね。

ロマンアルバム となりのトトロ 宮崎駿監督インタビューより

お母さん自身が結核であったかどうかは明らかにはなっていません。

ただ、お母さんの退院後を見越して、療養できる空気がきれいな土地へ引っ越したということは宮崎駿監督も認めています。

日本家屋と洋間が繋がった不思議な家には、このような裏設定が存在したのです。

トトロとの出会いは実は「夢」?

サツキとメイの名セリフの中には「夢だけど!」「夢じゃなかった!」というものが存在します。

実際にサツキとメイがトトロと踊り、空を飛ぶシーンは、夢か現実か区別が難しいシーンになっています。

宮崎駿監督は「本当にあったことだと思う」とは語っているものの、以下のように発言しています。

サツキやメイがトトロに出会いますね、でも基本的にはたとえばサツキが会ったバス停のところも、それからメイが初めて出会ったところでも、本当にあったことなのか、それとも夢なのか。わからないようにはしてあるんです。

でも、僕はもちろん本当にあったことだと思って作ってます。

ロマンアルバム となりのトトロ 宮崎駿監督インタビューより

実はトトロが登場する場面では「夢ではないか・・?」と思わせる伏線があるのです。

  • 最初にメイがトトロと出会う場面
    →サツキがメイを発見したとき、メイは草木の中で眠っていた
  • バス停でトトロと出会う場面
    →メイはサツキの背中で眠っていた
  • トトロと共に踊り、空を飛ぶ場面
    →サツキもメイも布団の中(睡眠中)
  • メイの迷子の場面
    →メイが七国山に旅立つ前、サツキとメイがふて寝している

「トトロとの出会いは全てメイの夢だった」と考えることもできなくはないですよね。

夢のない話なので(夢だけど)、私自身も本当にあった説を信じたいです。

宮崎駿監督は「わからないようにはしてある」という以上のことは発言していないので、解釈は見た人に委ねているのでしょう。

トトロの目が望遠レンズ!?幻の1シーン

『となりのトトロ』には、映画完成後に描かれた幻の1シーンが存在します。

物語のクライマックスでトトロはサツキをネコバスに乗せますが、ここで「トトロがメイを発見するシーン」が描かれたのです。

少々長いですが、以下、そのストーリーの引用です。

トトロは大クスのテッペンでゆっくりと周囲を見渡す。

何をやっているのかわからないサツキ。でもその見つめる先にメイがいるのかと思うと、自然にサツキも周りを見る。

(中略)

トトロの顔がピタッと止まる。えっ?どうしたの?というサツキ。

そこへトトロが顔を前のめりにしてギンッと3倍くらいの大きさに眼を開く。

ビュンと早いTU(トラックアップ、いわゆるズームアップ。カメラが対象物に寄る)で田んぼ。ビュンとさらにトラックアップして七国山に続く道。さらにビュンとトラックアップすると、六地蔵の前でトウモロコシを抱えたまま立ち往生しているメイ。そのメイがヘタっと腰を下ろす。メイを発見!

ここまでを逆モーションでビュンビュンと引いて見せ、トトロは元の顔に戻ると、サツキに対して「あっち」と腕を上げる。

「ふたりのトトロ」木原浩勝(講談社)より引用

これは『となりのトトロ』で制作デスクを務めた木原浩勝さんが著書『ふたりのトトロ』の中で明かしたエピソードです。

完成後に宮崎駿監督から意見を求められた木原さんは、以下のような意見を伝えたそうです。

  • トトロよりもネコバスが活躍しすぎである(これでは『となりのネコバス』だ)
  • 最後の一番美味しい場面で、トトロはネコバスを呼んだだけ
  • ネコバスは行先表示を「めい」と表示したが、そもそもなぜネコバスはメイの場所を知っていたのか

この結果生まれた幻の絵コンテが、「トトロがメイを発見するシーン」です。

大きく目を開き、望遠レンズのように機能する目でメイを発見したという裏エピソードです。

木原さんはこのシーンをビデオ版にだけでも追加できないか画策しましたが、結果的には宮崎駿監督に止められ、幻の1シーンとなりました。

宮崎駿監督はインタビューで「トトロはサツキに同情しないし、サービスしたという意識もない」と語っています。

トトロは決して人間的な生き物ではないのです。

この幻の1シーンは宮崎駿監督がとっさに作ったものですが、これを追加するとトトロが「人間的な生き物」に見えてしまいますよね。そうした矛盾を避けるため、宮崎駿監督はこのシーンを追加しなかったのではないでしょうか。

プロローグ無し!オープニングは宮崎駿監督のこだわり

宮崎駿監督作品は基本的にプロローグのシーンが存在します。(オープニングが流れる前の導入の場面)

『となりのトトロ』は例外的に、いきなりオープニング曲「さんぽ」が流れることでスタートします。

制作デスクの木原さんは、宮崎駿監督の発言を著書で紹介してくれています。

「このトトロは、『あ!始まった!』から映画を見せたいんです。最初から『楽しい映画が始まったんだ!』と思って入ってもらいたいんです。だからタイトルから楽しく元気になる主題歌が必要なんです。これがないと始まらないくらい大切なんです」

「ふたりのトトロ」木原浩勝(講談社)より引用

宮崎駿監督は『となりのトトロ』で子ども達を楽しませることにこだわっていました。

プロローグをカットしたことも、子ども目線を大切にした1つの演出だったのでしょう。

【デマ?】公式が否定した都市伝説には要注意

『となりのトトロ』の設定については、一時期「デマ」とも言える都市伝説が拡散されました。

主に以下のような内容です。

  • トトロは死神である
  • ネコバスは冥界に繋がる乗り物である
  • メイは行方不明になったときに亡くなっている
  • サツキはメイの元へ向かうため、自ら冥界への扉を開いた
  • 『となりのトトロ』は「狭山事件」をモデルとしている

それなりの根拠と共に語られたため、一時は多くの人が「これが真実だ」と信じていました。

あまりにも拡散されたため、スタジオジブリが公式に否定もしています。

これら都市伝説の内容や矛盾点については、以下の記事で詳細に紹介していますので、気になる方はご覧ください。

都市伝説も解釈のひとつです。

解釈はひとそれぞれですので、都市伝説が生まれること自体は私自身面白いことだと思います。

ただ、こういった都市伝説がまるで真実のように語られることには違和感を感じます。

正直なところ、作品や宮崎駿監督のインタビュー内容と矛盾点も多いため、都市伝説は都市伝説として楽しむのが良いですね。

『となりのトトロ』の記事執筆における参考書籍

まつぼくらぶでは『となりのトトロ』の記事を執筆するにあたり、主に以下の書籍を参考にしています。

  • ジブリの教科書3 となりのトトロ(文春ジブリ文庫)
  • ロマンアルバム となりのトトロ(徳間書店)
  • スタジオジブリ絵コンテ全集 となりのトトロ(徳間書店)
  • ふたりのトトロ(講談社)
ジブリの教科書3 となりのトトロ(文春ジブリ文庫)

過去のインタビュー内容等を参考、引用しています。

ロマンアルバム となりのトトロ(徳間書店)

インタビューや設定情報が記載された公式のムック本です。

著:宮崎駿
¥3,000 (2023/04/28 09:18時点 | Amazon調べ)
スタジオジブリ絵コンテ全集 となりのトトロ(徳間書店)

『となりのトトロ』の制作に使用された絵コンテです。

ふたりのトトロ(講談社)

『となりのトトロ』で制作デスクを務めた木原浩勝さんの著書です。

デスク目線でのエピソードが掲載されている貴重な資料です。2018年出版と、比較的新しいのも特徴です。

なお、作品の画像はスタジオジブリ公式サイトから無償提供されている場面写真を使用しております。

となりのトトロ スタジオジブリ場面写真

当記事の拡散は大歓迎です

スポンサーリンク

目次