『ちゅうずもう』は、ジブリ美術館で上映される短編アニメーションです。
ジブリ美術館の作品の中では唯一、宮崎駿監督が監督を務めておらず、山下明彦監督作品となっています。
当記事では、『ちゅうずもう』について内容や実際に見た感想について紹介します。
- スタジオジブリから徒歩圏内の小金井市在住のジブリオタク
- 好きな場所は三鷹の森ジブリ美術館
- 最も好きな作品は「風の谷のナウシカ」
当記事はネタバレを含みますのでご注意ください。
『ちゅうずもう』のあらすじ・見どころ
『ちゅうずもう』のあらすじは、ジブリ美術館のホームページ上では以下のように記載されています。
むかしむかし山奥に住んでいたジイとバアは、くる日もくる日も山の畑を登ったり下りたりしながら、ぐだぐだにくたびれて暮らしていました。
ある晩ジイが外に出ると、どこかへと向かうねずみたちを見かけます。
こっそり後をついていったところ、ねずみたちは集まって相撲をしていました。自分の家のねずみたちが負けてばかりいるのを知ったジイとバアは、ねずみたちのためにサンマの団子や豆腐の田楽を用意します。
さあ、今度の勝負はどうなるでしょう。
ジブリ美術館ホームページより引用
監督はアニメーターで演出家の山下明彦さんが務めており、宮崎駿監督は企画・脚本としてかかわっています。
『ちゅうずもう』の基本情報
絵コンテ・監督 | 山下明彦 |
企画・脚本 | 宮崎駿 |
公開年 | 2010年 |
原作 | 民話「ねずみのすもう」 |
上映時間 | 約13分 |
以下、この『ちゅうずもう』の魅力について、若干のネタバレを含みながら紹介します。
ジブリ版日本昔ばなし
『ちゅうずもう』の原作は日本民話の『ねずみのすもう』です。
いわゆる昔ばなしで、『ちゅうずもう』の絵柄も日本昔ばなしのような雰囲気に仕上げられています。
阿川佐和子さんのナレーションで進むストーリーは、まさに昔ばなしといった様子です。
ねずみやジイ・バアの豊かな表情と動きに注目
ねずみやジイ・バアの動きはジブリらしさ全開で、最大の見どころです。
ねずみ達はやけに紳士的で礼儀正しい動きを見せるため、これが思わず笑ってしまいます。
ねずみの動きには宮崎駿監督のこだわりも反映しているようで、山下明彦監督が以下のように語っています。
「ねずみに対する考え方を変えてください。この人たちを礼儀を知っている侍と思ってほしい」と宮崎駿監督から指摘を受け、それならばと、ねずみに神妙な武士のような立ち振る舞いをさせました。
『ちゅうずもう』パンフレットより引用
ねずみは表情も豊かで、『千と千尋の神隠し』に登場する「坊ねずみ(坊がねずみに変えられた姿)」を思い出させます。
あまりにも可愛かったので、我が家にはちゅうずもうのマスコットが置いてあります(笑)
ねずみだけではなく、ジイとバアの様子も必見です。
当初は元気のない様子だったジイとバアですが、「ねずみを応援する」という目的を得てからは一心不乱に料理を振る舞います。
ねずみを応援する熱のこもった様子は、物語序盤とは顔つきも異なって見えます。
言葉を交わさずともお互いを理解している、素敵な老夫婦の雰囲気も出ており、ほっこりする登場人物です。
ジイとバアの美味しそうな料理にはジブリのこだわりが
ジイとバアはねずみを応援するために料理を振る舞いますが、ここにもジブリのこだわりが存在します。
『ちゅうずもう』で登場する料理は以下の2種類です。
- 豆腐の田楽
→味噌にくるみを入れたものを豆腐にぬり香ばしく焼き上げたもの - そばダンゴ
→塩漬けのサンマを入れたダンゴ
これはいずれも、当時の山奥で食べられるごちそうをイメージして作られています。
実際に長野県の下栗にロケハンに生き、山の里の畑を見学したことを美術監督の田中直哉さんは語っています。
下栗で食べたサンマの入ったそばダンゴが、そのまま『ちゅうずもう』に登場しているのです。
個人的には豆腐の田楽は特に美味しそうに見えました。
「ジブリ飯」という言葉があるくらい、ジブリは食べ物にもこだわって表現しています。
こちらも見どころのひとつです。
『ちゅうずもう』を実際に見た感想
実は本音を言うと、『ちゅうずもう』を見る前はあまり期待をしていませんでした。
原作は昔ばなしであり、監督も宮崎駿監督ではありません。
「ありきたりな昔ばなしかな?」と思って見たのですが、なんともこれが面白い!
ジブリ美術館の作品の中でも、個人的には上位にランクインするほど好きな作品になりました。
お気に入りのポイントはねずみの表情と動きです。
見た目に似合わない紳士的な動きや、大げさな表情とリアクションには、笑わせてもらえます。
ラストシーンではジイとバアのねずみが勝利しますが、勝ったねずみも負けたねずみも大笑いで物語は終了します。
登場人物も観客も、全員が笑顔で終われるすっきりとする作品です。
【どこで見れる?】『ちゅうずもう』が見れるのはジブリ美術館だけ
『ちゅうずもう』を見ることができるのは、三鷹の森ジブリ美術館だけです。
今月のえいがは「ちゅうずもう」です。味噌にくるみを入れたものを豆腐にぬり香ばしく焼き上げた”豆腐の田楽”や、塩漬けのサンマを入れた”そばダンゴ”が登場します。このごちそうがある山の里は、舞台となった場所がありますが、ご存知でしょうか?
— 三鷹の森ジブリ美術館 (@GhibliML) August 1, 2022
ヒントは現在パーク展開催中のあの県…です。 pic.twitter.com/z6pR9RfB7T
動画配信も無ければ、DVDも販売されていません。
また、ジブリ美術館でも常に見れるわけではありません。
ジブリ美術館の小さな映画館「土星座」では、10種類の短編アニメーションが定期的に入れ替えで上映されています。
上映スケジュールを確認したうえで、ジブリ美術館のチケットを確保する必要があるのです。
上映スケジュールや作品の一覧等、土星座の詳細は以下の記事で詳細にまとめていますので、ぜひ合わせてご覧ください。