当記事では、映画「紅の豚」の名脇役フェラーリンについて語ります。
名前すら知らない方も多いと思いますが、ファンの間では人気の高いキャラクターです。
フェラーリンの活躍や名言、モデルとなった人物について紹介しますので、参考になれば幸いです。
- スタジオジブリから徒歩圏内の小金井市在住のジブリオタク
- 好きな場所は三鷹の森ジブリ美術館
- 最も好きな作品は「風の谷のナウシカ」
当記事は映画「紅の豚」を一度は見ている方向けに執筆しています。
結末等のネタバレを含みますのでご注意ください。
フェラーリンは「紅の豚」の名脇役
フェラーリンは映画の中盤、ポルコが映画館に訪れた際に登場します。(上画像の左)
登場回数は多くはないものの、ストーリーにおいて重要な役目を果たします。
フェラーリンの基本的な情報は以下のとおりです。
本名 | フェラーリン |
年齢 | 30代後半 ※ポルコと同世代 |
所属 | イタリア空軍(少佐) |
ポルコとの関係 | 空軍時代を共にした同志 |
声優 | 稲垣雅之 |
ポルコが人間だった頃から交友があり、ポルコを本名の「マルコ」と呼ぶ数少ない人物です。
※映画内でポルコを本名で呼ぶのはフェラーリンとジーナだけ
脇役ではあるものの存在感のあるキャラクターで、ファンも多いです。
(参考)少佐ってどれくらい偉い・・?
軍隊の一般的な階級は以下のとおりです。
フェラーリンの肩書である「少佐」は半分よりも高い上級将校に位置します。
それなりに高い地位と言えますね。
ちなみにポルコは「マルコ・パゴット大尉」として従軍していましたので、フェラーリンは当時のポルコの役職を上回っています。
だからこそポルコの口から「出世したな」との発言も出たのかもしれませんね。
「紅の豚」におけるフェラーリンの活躍
「紅の豚」において、フェラーリンの出番は多くはありません。
フェラーリンが関与する場面は以下の3つのシーンですが、それぞれ重要な役割を持っています。
- 映画館でのポルコとの会話
- ポルコの逃走をサポート
- 空軍の情報をジーナへ伝達
それぞれにおけるフェラーリンの活躍を以下、順番に紹介します。
映画館でのポルコとの会話
フェラーリンが初登場するのが映画館でのポルコとの会話シーンです。
追われる身のポルコを心配し、空軍に戻ることをすすめます。
派手さは無い場面ですが、ポルコの思考が読み取れる興味深いセリフを多数引き出しています。
- ファシストになるより豚のほうがマシさ
- 俺は俺の稼ぎでしか飛ばねえよ・・
こういったセリフから、ポルコのファシストへの姿勢や、生き様が読み取れます。
現実を受け入れて国家の元で生きるフェラーリンと、孤独に自由に飛び回るポルコが対比関係になっており、ポルコの異質さを際立たせています。
地味なシーンではありますが「紅の豚」を深く理解するうえで欠かせないシーンです。
ポルコの逃走をサポート
ポルコが追手を振り切りフィオとともにミラノを飛び立った時、フェラーリンは逃走をサポートします。
空軍が網を張っている情報をポルコに伝え、抜け道を教えます。
軍人としてはあるまじき行為ですが、国家の命令よりもかつての戦友を大切にするフェラーリンの価値観が感じられますね。
このシーンのここが好き!
フェラーリンは別れ際、ポルコに「豚に真珠」とメッセージを残して去ります。
これはフィオとポルコの姿を見たジョークですが、フェラーリンのキャラクターとギャップがあり好感度が高まるシーンです。
映画館ではフェラーリンの生き様とポルコの生き様は対立しているようにも見えました。
ただ、このシーンによってフェラーリンもまた国家(ファシスト)のために飛ぶことに葛藤を抱えているのだと分かります。
葛藤を抱えながらも気持ちに折り合いをつけて国家のために飛ぶ・・それでも過去の戦友は何よりも大切にする。
こういったフェラーリンの人間性に惚れたファンは少なくないでしょう。
空軍の情報をジーナへ伝達
映画のクライマックス、ポルコとカーチスの決戦騒ぎに終止符を打ったのはジーナです。
「空軍が決闘場所にやってくる」ことをジーナは伝え、空賊たちは一目散に散っていきます。
このジーナに空軍の情報を伝えたのがフェラーリンです。
これも軍人としては許されない行為ですが、この場面でもフェラーリンがポルコを救っているのです。
フェラーリンの名言
フェラーリンは出番こそ多くはありませんが、魅力的な明言をいくつも残しています。
ここでは映画館でのポルコとの会話で生まれた3つの名セリフを紹介します。
- お前には反国家非協力罪・密出入国・退廃思想・破廉恥で怠惰な豚でいる罪・猥褻物陳列で逮捕状が出される
-
思わずクスっと笑ってしまうセリフですが、ポルコが世間からどう見られているのかが分かる重要なセリフです。
これをフェラーリンは超真面目なトーンで言っているのも面白いですね。
- 国家とか民族とかくだらないスポンサーをしょって飛ぶしかないんだよ
-
「俺は俺の稼ぎでしか飛ばねえよ・・」というポルコの名言の対極ですね。
フェラーリンをはじめ、多くの飛行艇乗りが抱えているであろう葛藤を表現した名セリフです。
- 飛んだところで豚は豚だぜ
-
「飛ばない豚はただの豚だ」はポルコの有名なセリフですが、それを打ち消す名セリフです。
フェラーリンはポルコが豚の姿である理由に気が付いているのかもしれません。
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フェラーリンのモデルは実在する?
フェラーリンにはモデルとなったと言われる人物が存在します。
アルトゥーロ・フェラーリン(1895年2月12日 – 1941年7月18日)です。
- イタリア王国のパイロット
- 第1次世界大戦では戦闘機のパイロットとして活躍
- 1920年にローマから東京への飛行に成功(世界初)
- 第二次世界大戦勃発後のテスト飛行中に事故死
イタリア出身という点や、第1次世界大戦で活躍した点などは「紅の豚」のフェラーリンそのものですね。
『紅の豚』のまとめ記事はこちら!
『紅の豚』の都市伝説や考察のまとめなど、『紅の豚』の魅力を1記事にまとめています。ぜひ合わせてご覧ください。
『紅の豚』の記事執筆における参考書籍
まつぼくらぶでは『紅の豚』の記事を執筆するにあたり、主に以下の書籍を参考にしています。
- ジブリの教科書7 紅の豚(文春ジブリ文庫)
- 宮崎駿の雑想ノート(大日本絵画)
- スタジオジブリ絵コンテ全集7 紅の豚(徳間書店)
- ジブリの教科書7 紅の豚(文春ジブリ文庫)
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過去のインタビュー内容等を参考、引用しています。
ポチップ - 宮崎駿の雑想ノート(大日本絵画)
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『紅の豚』の原作『飛行艇時代』が収録されています。
- スタジオジブリ絵コンテ全集7 紅の豚(徳間書店)
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『紅の豚』の制作に使用された絵コンテです。
ポチップ
なお、作品の画像はスタジオジブリ公式サイトから無償提供されている場面写真を使用しております。