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【天空の城ラピュタ】主人公・パズーを解説!映画内の心境の変化に注目!

天空の城ラピュタ_ パズー

当記事では、『天空の城ラピュタ』の主人公・パズーについて解説します。

明るくまっすぐで、見ていて気持ちのいいキャラクターです。
(「理想の彼氏像」なんて声もチラホラ・・)

映画を見ているだけでは分からない裏話も紹介しますので、参考になれば嬉しいです。

以下の記事では『天空の城ラピュタ』のストーリーを徹底解説しています。

なかなかボリュームの多い記事ですが、ラピュタ好きに読んでもらえると嬉しいです。

筆者のプロフィール
  • スタジオジブリから徒歩圏内の小金井市在住のジブリオタク
  • 好きな場所は三鷹の森ジブリ美術館
  • 最も好きな作品は「風の谷のナウシカ」

当記事は結末等のネタバレを含みますのでご注意ください。

目次

『天空の城ラピュタ』パズーの基本情報

天空の城ラピュタ-スタジオジブリ 場面写真より
名前パズー
年齢12歳
声優田中真弓
一言プロフィール天空の島「ラピュタ」を夢見る元気な少年

『天空の城ラピュタ』の主人公である少年・パズーです。

12歳という年齢ながら、両親を亡くしており、一人暮らしをしながら鉱山で働いています。

ここでは以下の観点で、パズーのプロフィールについて紹介します。

  • ラピュタを夢見る機会に強い少年
  • 両親を亡くした貧しい労働者
  • 声優は人気声優・田中真弓さん

順番にご覧ください。

ラピュタを夢見る機械に強い少年

パズーは亡き父が見たという「ラピュタ」を夢見る少年です。

ラピュタを探すため、自らの手で飛行機(オーニソプター)を制作しています。

映画の中でも機会に強い描写は多々あり、器用な様子がうかがえます。

パズーの器用な様子

  • 鉱山で機械工の仕事をしている
  • 自宅で鳥型飛行機のオーニソプターを制作している
  • ドーラの船・タイガーモス号でもテキパキと仕事をしている

両親を亡くした貧しい労働者

パズーは両親を亡くしており、1人で生活しています。

パズーは鉱山で働く鉱夫の見習いとして描かれますが、その詳細が小説にて説明されていました。

「機械見習い工」というパズーの身分のことだが、これは正しくは単なる「下働き」で、大人を使うとそれなりの賃金を払わなければならない鉱山主が極めて安い金で少年をコキ使っていたにすぎない。

小説 天空の城ラピュタ より引用

貧しいスラッグ渓谷の中でも、さらに貧しい下働きの立場なのです。

日々を必死で息抜き、余ったお金で少しずつオーニソプターを組み立てていくという生活を送っていました。

このような背景があるからこそ、パズーはムスカから貰った金貨を投げ捨てることが出来なかったのです。

声優は人気声優・田中真弓さん

パズーの声優は田中真弓さんで、『ワンピース』のルフィや『ドラゴンボール』のクリリンでも有名な声優です。

ただし、パズーの演技においては宮崎駿監督や高畑勲監督からの以下のような注文が反映されています。(ロマンアルバムにアフレコの様子が掲載されています)

パズーの演技に関する注文

  • インテリジェンス(知性)があってほしい
  • 優しい子にしてほしい
  • 男の子としての自己主張をおさえる

パズーは元気いっぱいの男の子ではありますが、どこか落ち着いた優しい雰囲気が感じられます。

これも田中真弓さんの演技によるものなのです。

【考察】パズーのシータに対する心境を考察

ここでは、パズーのシータに対する心境に注目してみます。

『天空の城ラピュタ』は、宮崎駿監督が語っているとおり、パズーの成長がひとつのテーマです。

テーマも何も、男の子が女の子と出会ってひと肌ぬごうという(笑)話で、男になったってだけなんです。

ジブリの教科書 天空の城ラピュタ より引用

映画の描写を見ていても、パズーの心境の変化ははっきりと読み取ることができます。

  1. 非日常に対する「ドキドキ」
  2. 守ってあげるべき存在
  3. 宿命を背負い、運命共同体に

この順番で解説します。

非日常に対する「ドキドキ」

物語冒頭のパズーの心情を一言で表現すると「ドキドキ」というのが適切でしょう。

これはパズーのセリフでもはっきりと発言されています。

パズー「君が空から降りてきたとき、ドキドキしたんだ。きっと、素敵なことが始まったんだって」

シータと出会うまでのパズーは、厳しい生活を送っていました。

  • 不景気な鉱山での下働き
  • 日々の生活がやっとの中、少しずつオーニソプターを作る日々
  • 実在するかも分からない「ラピュタ」だけが拠り所

このような状況の中、「非日常的」なシータとの出会いは、まさに「ドキドキ」するものだったのでしょう。

パズーが海賊からシータを守ったのも、最初は深い理由はなかったものと想像できます。

「女の子が追われているから一緒に逃げた」という、あくまでもパズーの正義感による行動です。

この「ドキドキ」と「正義感」が次第に「シータを守る」という明確な意思に変わっていきます。

守ってあげるべき存在に

物語冒頭のパズーは、シータとずっと行動を共にする気は全くなかったのでしょう。

その証拠に、シータを親方の家に隠した後、パズー自身も表で海賊と戦おうとしています。

パズー「ぼくも戦う!!」

このパズーの態度が変わるきっかけとなったのが、おかみさんのセリフではないでしょうか。

おかみさん「いい子じゃないか。守っておやり」

このセリフで、シータをはっきりと「守るべき存在」として意識しはじめています。

ただそれでも、まだシータは「特別な存在」とまでは言えません。

軍隊の装甲車を見つけたパズーは、安心した表情でシータを引き渡そうとしました。

しかしながら、軍隊も信用できないことを知ったパズーは、さらにシータと一緒に行動することになります。

シータの宿命を背負い、運命共同体に

命がけでシータを守ったパズーに対して、シータもようやく秘密を打ち明けます。

シータ「私の継いだ名は・・ルシータ。・・・ルシータ・トエル・ウル・・・ラピュタ・・・」

パズーの夢見る「ラピュタ」の名をシータが継いでいたのです。

これにより、パズーとシータは「ラピュタ」で繋がることになります。

パズーがシータをさらに強く意識するようになった出来事が、テディス要塞での一件です。

シータはパズーを守るため、嘘をついてパズーにラピュタを諦めさせました。

ドーラ「シータがそう言った?バーカ!お前を助けるためにおどかされてやったに決まってるじゃないか」

この一件で、パズーは強烈な自己嫌悪とシータへの想いを強めたのでしょう。

この時のパズーの心情
  • シータはパズーを守るため、嘘をついてでもパズーを逃がしてくれた
  • パズーはシータの嘘を真に受け、ノコノコと自宅に帰ってきてしまった
  • もう一度シータに会いたい
  • 何が何でもシータを助け出したい

これ以降、パズーはシータを最優先に行動しています。

海賊になるというのも、相当な覚悟です(海賊は捕まれば打ち首(死刑)だと説明されています)

そして何より、シータは「守るべき存在」ではなく「運命共同体」のような扱いになっています。

パズー「シータは後ろを見張って」

パズー「シータは木登り平気だよね」

こうしたセリフからは、シータに対する信頼が感じられます。

シータは守るべき女の子ではなく、ともにラピュタを目指す同志となりました。

そして物語のラストでは、自らの命も省みずに二人で「バルス」を唱えるまでになるのです。

パズーに関する裏話

ここからは、映画を見ていただけでは分からない裏話を紹介します。

「パズー」の名前は学生時代に考えていたもの

「パズー」は素敵な名前ですが、その名前は学生時代に考えたものだと、宮崎駿監督が過去のインタビューで語っています。

「学生の時に考えた船乗りの名前」だそうです。

ノートに記録しているわけではなく、頭の中から引っ張り出している、とコメントしています。

パズーの年齢を引き上げる案があった?

『天空の城ラピュタ』は、当初から「男の子を活躍させる」というのがひとつのテーマとして存在しました。

以下、鈴木敏夫プロデューサーのインタビューを踏まえたエピソードの紹介です。

『ナウシカ』は、観客の年齢層が想定以上に上で、宮崎さんも「もう少し下の男の子に見せたい。男の子が活躍する作品をやりたい」と言っていた

ジブリの教科書 天空の城ラピュタ より引用

一方で、ストーリーの内容を宮崎駿監督、高畑勲監督、鈴木敏夫プロデューサーで議論する中、「パズーの年齢を引き上げる案」が浮上したのです。

パズーよりもムスカが目立ってしまっていたため、パズーのキャラクターに陰影を持たせようとした鈴木敏夫プロデューサーの提案です。

これに対して宮崎駿監督は「小学生に見せる映画だ!年齢を引き上げたら元も子もない!」と激怒したそうです。

『天空の城ラピュタ』は、少年が活躍するからこそ意味がある作品なのです。

当初はトランペットを持って冒険する設定だった

パズーが物語冒頭でトランペットを吹くシーンは印象的です。

実は初期構想では、パズーはこのトランペットをずっと持ち運ぶ予定でした。

最初は、(未来少年コナンの)コナンが銛を持っていたように、パズーもずっとトランペットを持ちながら冒険をしていく設定になっていました。

ジブリの教科書 天空の城ラピュタ より引用

やめた理由は「面倒くさい」だそうです(笑)

主人公のパズーにトランペットを持たせるということは、それだけ作画の負担も増えるというわけです。

宮崎駿監督はスケジュールを意識して現実的な方法を取ることで知られますので、この設定変更も現実を見てのことだったのでしょう。

小説版で描かれたパズーの「その後」

実は小説版の『天空の城ラピュタ』では、映画にはない「その後」が描かれています。

そのシーンでは、パズーはスラッグ渓谷へ、シータはゴンドアの谷へと戻っています。

二人はともに暮らすのではなく、もとの生活に戻ったわけです。

小説では、パズーがシータに宛てた手紙が描かれています。

パズーからシータの手紙

  • 政府は「ラピュタ」のことを無かったことにしようとしている
  • オーニソプターが完成に近づいている
  • ゴンドアまでの航空地図は完成している
  • ドーラと思われる海賊が、軍の給料を盗んだ新聞記事が出ていた

映画でもパズーの製作したオーニソプターが飛ぶシーンは検討されたようですが、作画の関係で飛ばすのが難しく、諦めたそうです。

『天空の城ラピュタ』の記事執筆における参考書籍

まつぼくらぶでは『天空の城ラピュタ』の記事を執筆するにあたり、主に以下の書籍を参考にしています。

  • ジブリの教科書2 天空の城ラピュタ(文春ジブリ文庫)
  • ロマンアルバム 天空の城ラピュタ(徳間書店)
  • スタジオジブリ絵コンテ全集 天空の城ラピュタ(徳間書店)
  • The art of Laputa―天空の城ラピュタ(徳間書店)
  • もう一つの「バルス」 ―宮崎駿と『天空の城ラピュタ』の時代― (講談社文庫)
  • 小説 天空の城ラピュタ (アニメージュ文庫)
ジブリの教科書2 天空の城ラピュタ(文春ジブリ文庫)

過去のインタビュー内容等を参考、引用しています。

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ロマンアルバム 天空の城ラピュタ(徳間書店)

インタビューや設定情報が記載された公式のムック本です。

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なお、作品の画像はスタジオジブリ公式サイトから無償提供されている場面写真を使用しております。

天空の城ラピュタ スタジオジブリ場面写真

当記事の拡散は大歓迎です

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