当記事では、宮崎駿監督作品『ハウルの動く城』について、徹底解説します。
あらすじの解説はもちろん、ストーリーの謎の考察まで行います。
スタジオジブリ公式本や原作、関係者の過去インタビューをもとに解説しますので、参考になれば嬉しいです。
- スタジオジブリから徒歩圏内の小金井市在住のジブリオタク
- 好きな場所は三鷹の森ジブリ美術館
- 最も好きな作品は「風の谷のナウシカ」
当記事は結末等のネタバレを含みますのでご注意ください。
長めの記事になりますので、目次(↓↓)から気になる所にジャンプするのもおすすめです。
【まずは超簡単に】『ハウルの動く城』のあらすじ
まずは『ハウルの動く城』の全体像をつかんでいただくため、あらすじを超簡単にまとめます。
『ハウルの動く城』の超概要
- 90歳になる呪いを受けた少女ソフィーの物語
- ソフィーは呪いを解くため、魔法使いハウルの城に住み込むことに
- ハウルと暮らす中、ソフィーはハウルに恋をする
- 時代は戦争の最中で、ハウルも戦争に巻き込まれてしまう
- 呪いを解くため、ハウルを守るため、ソフィーは躍進する
かなりざっくりしてしまいましたが、『ハウルの動く城』は90歳のおばあちゃんを主人公としたファンタジー映画です。
起承転結の流れで作られておらず、「意味が分からない」と言われることも多い作品です。
その一方で、何度見ても深みを感じられる作品でもあり、老若男女問わずファンが多い作品でもあります。
以下では、『ハウルの動く城』のあらすじをさらに詳細に解説しますので、参考になれば幸いです。
【ネタバレあり解説】『ハウルの動く城』のあらすじ
ここからは映画の流れに沿って、『ハウルの動く城』のあらすじを解説します。
多くのシーンをカットしながらにはなりますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
【第1章】帽子屋ソフィーとハウルの出会い
物語の主人公はソフィーです。
毎日まじめに帽子屋で働く18歳の女の子です。
ソフィーは原作では三姉妹の長女。
平凡な見た目で極めてまじめ、そして少々ネガティブな性格です。
映画冒頭でも鏡を見てムッとするなど、自分に自信が無い様子が表現されています。
ある日ソフィーは外出した際に兵士にナンパされます。
困っていたソフィーに「やあ、ごめんごめん。探したよ」と美しい青年が声をかけます。
青年は不思議な力で兵士を追い払い、そのままソフィーをエスコートします。
すると突如、真っ黒なゴムのような化け物に追われ始めます。
青年は魔女に追われていたのです。
青年の魔法の力でソフィーと青年は空に飛び立ち、空中散歩を楽しみながら、魔女の追手を巻くことに成功します。
ソフィーは無事目的地にたどり着き、青年と別れます。
美しい青年との不思議な体験に、ソフィーの心はここにあらず、といった状態となりました。
この青年がハウルです。
ハウルは街では「若い女性の心臓を奪う魔法使い」として恐れられていました。
この時点でハウルは名乗っていませんので、ソフィーも青年をハウルだとは認識していません。
※「心臓を奪う噂」は恐ろしさを印象付けるために弟子が流したデマだったことが原作で描かれています。
その晩、閉店後の帽子屋に怪しげな女性がやってきます。
この女性がハウルを追っていた荒地の魔女です。
ハウルと行動したソフィーは目をつけられ、呪いをかけられてしまいます。
なんとソフィーは90歳のおばあちゃんになってしまうのです。
この呪いは人には話せない呪いとなっており、ソフィーは家族や友人に助けを求めることもできません
翌朝、「ここ(帽子屋)にはいられないわね」と判断したソフィーは、そっと街を飛び出します。
呪いを解くために荒地に向かうのです。
道中では草むらに埋もれたカカシのカブを救う等、大胆な行動を繰り返します。
おばあちゃんソフィーは、見た目が変わっただけでなく、行動や発言も大胆になっています。
単に見た目が変わる呪いではなく、本当におばあちゃんになっていることが分かります。
日が暮れて疲れ果てたころに目の前に現れたのが、ハウルの動く城でした。
大胆にも城に潜り込んだソフィーは、そこで火の悪魔カルシファーに出会います。
カルシファーはハウルとの契約に縛られ、城でこき使われているようです。
カルシファーはソフィーが呪いにかかっていることを見破り、取引を持ち掛けます。
「おいらをここに縛り付けている呪いを解いてくれれば、あんたの呪いも解いてやるよ。」
カルシファーの呪いを解くためには、ハウルとカルシファーの契約内容を見破る必要があるようです。
ソフィーは取引を引き受けつつ、そのまま会話の最中に眠ってしまいました。
【第2章】ハウルの動く城での不思議な生活
ソフィーは自分を掃除婦だと主張することで、ハウルの城に住み込むことになります。
ハウルの弟子のマルクル、カルシファー、そしてハウルとの新生活のスタートです。
ハウルの城の最大の特徴は、入口の扉です。
一見ひとつの入口ですが、複数の町に繋がっているのです。扉の上の円盤の色に応じて、行先が切り替わります。
行先をうまく切り替えながら、マルクルやハウルは生活しているのです。
- 青:港町
- 赤:首都キングズベリー
- 緑:荒地
- 黒:戦場※
黒の行先は「ハウルしか知らない」と語られており、映画内ではセリフでは説明されていません。
ただ、その後の描写でハウルは戦場に行っていることが理解できます。
城に住み着いたソフィーはしっかりと掃除婦としての仕事をこなします。
ソフィー、マルクル、カルシファーにカカシのカブを加えて、ほのぼのと温かい生活が描かれます。
皆が寝静まったあと、黒の行先からハウルが帰還します。
ひどく疲れた様子で身体はカラスのような姿に変身しており、「ひどい戦争だ・・」とカルシファーに愚痴をこぼします。
ハウルは戦争を嫌っているのです。
この時、ハウルはソフィーの寝顔をのぞきます。
ソフィーは若い姿に戻っていましたが、ハウルに驚いた様子はありませんでした。
ハウルはソフィーが本当は老婆ではないことに既に気が付いていたのでしょう。
翌朝、血相を変えたハウルがソフィーの元へ詰め寄ります。
ソフィーが掃除中にまじないのレイアウトを動かしたことで、ハウルの髪色が変わったのです。
「美しくなかったら生きていたって仕方ない・・」とハウルは落ち込み、ネバネバの液体のように溶けていきます。
その様子をみたソフィーは「私なんか美しかったことなんか一度もないわ」と思わず城を飛び出し、雨の中号泣します。
老婆になっても前向きに振る舞っていましたが、実際は我慢の限界だったのでしょう。
劣等感を感じてきた過去の人生も含めて、ソフィーが本音をさらけ出したターニングポイントとなるシーンです。
互いに弱みを見せたハウルとソフィーは、このシーン以降互いを信用するようになっていきます。
その後ソフィーはマルクルに呼び戻され、ネバネバに溶けたハウルを看病します。
【第3章】ソフィー王宮へ
ソフィーに看病されたハウルは、本心をソフィーに語り始めます。
- 自分は本当は臆病者であること
- 荒地の魔女が怖くて仕方ないこと
- 王様から戦争に召集されているが、行きたくないこと
これに対してソフィーは「王様に戦争をやめなさい」と言えばいいと提案します。
この提案を聞いたハウルは「ソフィーが代わりに行けば良い!」と閃き、ソフィーが王宮に行くことになってしまいます。
不安ながらも王宮に向かう道中、ソフィーは荒地の魔女と再会します。
荒地の魔女も国王の召集を受けてやってきましたが、これは王室付き魔法使い・サリマンの策略でした。
荒地の魔女は王宮に到着するやいなや、魔力を奪われ、無力なおばあちゃん(本来の姿)になってしまいます。
ソフィーに呪いをかけた張本人であり、悪役(ラスボス)と思われた荒地の魔女が、ここでまさかの無力化という展開です。
物語の結末が予測不能な状態となっていき、混乱した方も多いのではないでしょうか。
実際に原作では荒地の魔女は最後まで悪役です。ここから先の展開は原作にはほぼ無い、宮崎駿のストーリーです。
王宮ではソフィーはサリマンと対峙することになります。
ハウルを戦争に協力させたいサリマンに対して、ソフィーも一歩も引かず「ハウルは来ない」と主張します。
ハウルについて語るソフィーは、本来の若い姿に戻っていました。
呪いによって老婆になったはずですが、映画内では時々このように元の姿に戻るシーンが描かれます。
サリマンと対峙するソフィーを救いに来たのが国王の姿に変身したハウルでした。
「逃がしませんよ」と不敵に笑うサリマンは、ハウルめがけて強力な魔法を繰り出します。
サリマンとの戦闘の中で、ハウルは徐々に怪物のような姿(爪、牙、翼など)を現しながらも、なんとか脱出に成功します。
王宮のシーンでは「戦争に協力しない」という態度を貫くことには成功しました。
一方で、ハウルの怪物のような姿を見たソフィーは「ハウルがいつか怪物になってしまうかも・・」という不安を抱えることになります。
この時点でソフィーの最大のテーマは「自分の呪いを解くこと」ではなく、「ハウルを守ること」に変化しています。
王宮から戻った後は、新たなメンバーを加えての新生活のスタートです。
- 魔力を失ったおばあちゃんの荒地の魔女
- 王宮からなぜか付きまとう犬のヒン
ハウルの一声で、引っ越しが決定します。
魔法の力であっという間に移動した引っ越し先は、ソフィーがかつて暮らしていた帽子屋でした。
明るく楽しい引っ越しシーンとなっていますが、サリマンのいる首都・キングズベリーから離れることが目的なのは明らかです。
ソフィーの母・ハニーが再婚して帽子屋を出たため、ちょうど空き家となっていたのです。(原作では、マルクルが空き家を探す様子が描かれています)
ハウルはソフィーへのプレゼントとして、美しい花畑に繋がる出入口を用意します。
ソフィーは少女の姿に戻って喜びながら、思い切って「ハウルの力になりたい」と本心を伝えます。
ハウルは話題をそらしながら、「ソフィーはきれいだ」と真剣な表情で答えます。
自分に自信が無いソフィーは、「きれいだ」と言われておばあちゃんの姿に戻ってしまいました。
このやりとりから、ソフィーの心理状態によって見た目が変わっていることが分かります。
堂々と前向きな心理状態のソフィーは若々しく、自分に自信が無くネガティブな心理状態では老婆に戻るのです。
【第4章】ハウルの戦争
戦争が激化し、戦火はソフィー達の街にも届き始めます。
ソフィー達を守るため、ついにハウルは戦い始め、怪鳥のような姿に変化しています。
「逃げましょう。戦ってはだめ」と説得するソフィーに対して、
「僕はもう充分逃げた。ようやく守らなければならない者が出来たんだ・・・君だ」というセリフとともにハウルは飛び立ちます。
炎の中で戦うハウルは、恐ろしい怪物の姿へと変わっていきます。
ソフィーがこの町に居る限りハウルは戦い続けると考えたソフィーは、城の引っ越しを決意するのです。
ソフィーは結んでいた髪の毛をカルシファーに与え、力を得たカルシファーは城を動かし始めます。
そんな中、荒地の魔女はカルシファーの中にハウルの心臓を発見し、握りしめます。
抵抗するカルシファーは大きく燃え上がり、荒地の魔女は火だるまになってしまいます。
火だるまの荒地の魔女を助けるため、ソフィーは思わず水をかけてしまいました。
その途端、カルシファーの魔力は弱まり城は崩壊し、ソフィーは崖下へと転落します。
ハウルとカルシファーは契約で結びついており、「カルシファーの火が消える」ことは「ハウルの死」を意味します。
【第5章】少年ハウルと物語の終結
カルシファーに水をかけてしまったソフィーは、「ハウルが死んでしまうのでは」と号泣します。
ハウルの居場所を求めるソフィーがたどり着いたのは、ハウルが紹介してくれたあの花畑でした。
そこには幼いハウルの姿があり、ソフィーはハウルとカルシファーの契約の瞬間を目撃します。
ソフィーが迷い込んだのは過去の世界でした。
流れ星を拾ったハウルが、消滅しかかっていた流れ星に心臓を与えて命を吹き込む瞬間が描かれています(この設定は原作どおりです)
幼いハウルとカルシファーに向かって、ソフィーは大声で「未来で待ってて!」と叫びます。
ハウルとカルシファーのハッとした表情とともに、ソフィーは現実世界に戻ってきます。
「未来で待ってて」のセリフは、ハウルの最初のセリフ「やあ、ごめんごめん。探したよ」に繋がります。
ナンパされたソフィーを助けるセリフと思われましたが、ハウルは本当にソフィーを探していたのです。
現実世界に戻ったソフィーは、「カルシファーが千年も生き、ハウルが心を取り戻しますように・・」と祈りながらハウルに心臓を返します。
この結果、カルシファーは自由になり、ハウルにも心臓が戻りました。契約が解けたのです。
カルシファーの正体は消えかかった流れ星だったため、本来なら心臓を返せば死んでしまうはずでした。
ソフィーが祈りを捧げたことで、カルシファーも生き続けることができたのです。
※原作では、ソフィーは「言葉にしたことが現実になる力」を持つ魔女として描かれています。
映画ではあえて説明はされていないものの、この力でカルシファーを救っています。
目を覚ましたハウルは、ソフィーを見て「きれいだよ」と伝えます。
ソフィーは「ハウル大好き!よかった!」と抱きつき、物語はハッピーエンドに向かいます。
これまでは「きれいだよ」と言われてもおばあちゃんの姿に戻りはぐらかしていたソフィーが、心から誉め言葉を受け止めた瞬間です。
荒地の魔女の呪いだけではなく、ソフィーが生まれながらにして抱えていた「劣等感」という呪いも解けたのです。
なお、カカシのカブの正体は、隣国の王子でした。ソフィーのお礼のキスにより、魔法が解けます。
王子は戦争を終わらせるため、帰国することを決意します。
この様子を魔法の力で覗き見ていたサリマンも「バカげた戦争を終わらせましょう」と戦争の終結を宣言し、世界に平和が訪れるのです。
『ハウルの動く城』の謎を考察
『ハウルの動く城』では、あえてセリフで説明されていない設定も多数存在します。
ここでは、多くの方が疑問に感じる3つの謎について考察します。
- ソフィーが突然若返る理由
- ハウルとカルシファーの契約内容
- 契約を解除してもカルシファーが生き延びた理由
以下、順番に解説します。
ソフィーが突然若返る理由
ソフィーは90歳のおばあちゃんに姿を変えられますが、その容姿はたびたび変化します。
サリマンと対峙するシーンや、花畑でハウルと会話するシーンで少女の姿に戻ったのは特に印象的ですよね。
このようにソフィーが突然若返る理由については、ジブリ公式本「ロマンアルバム」にて解説されています。
荒地の魔女がかけた呪いに上乗せして、ソフィーが自分自身に暗示をかけてしまったと捉えることもできるのではないだろうか。
自分という存在に自信が持てなかったソフィーが、姿形が変わったことを幸いに、自分自身から逃げようとしていたと解釈すれば、気分によって年齢が上下していたのも納得できる。
ハウルの動く城 ロマンアルバムより
つまり、ソフィーの姿はソフィーの心理状態に左右されているのです。
堂々と、自分の本心をさらけ出すシーンでは若返っていることがよくわかります。
裏を返せば、自分の本心を隠したい場面ではおばあちゃんの姿に閉じこもってしまうのです。
ハウルが花畑で「ソフィーはきれいだ」と言った場面では、それまで少女の姿に戻っていたソフィーがあっという間に老婆に変わります。
このシーン、絵コンテでは「なんてガンコな呪いなんだ。もうソフィーの呪いはとっくにとけてるのに…」というハウルの心情が補記されています。
ハウルはソフィーの呪いの正体を見抜いていたのでしょう。
ソフィーは自分に自信が持てない主人公でした。
その劣等感が、呪いの正体だとも言えるのです。
このようなソフィーがストーリーを通じて、自分に正直になり、若く美しい姿に戻っていく様子は『ハウルの動く城』の見どころのひとつです。
ハウルとカルシファーの契約内容
ハウルとカルシファーの契約について、ロマンアルバムでは以下のように記載されています。
子どもの頃のハウルはさらなる魔力を求めてか、火の悪魔カルシファーと契約を結んだ。
心臓、もしくは眼と交換でその魔力を使えるようになるらしく、実際カルシファーはハウルの心臓に宿っていた。
ハウルの動く城 ロマンアルバムより
つまり、ハウルは心臓を捧げた代わりにカルシファーから魔力を得たわけです。
ソフィーがこの瞬間を目撃し、心臓をハウルに返したことで契約は解除となりました。
原作の設定も紹介!
カルシファーの正体は流れ星です。
地面に落下した流れ星はまもなく死んでしまう運命ですが、ハウルが心臓を与えたことでカルシファーは生き延びることができました。
心優しい少年ハウルは、魔力を得る目的ではなく、消えゆく流れ星を助けるために心臓を与えたのです。
契約を解除してもカルシファーが生き延びた理由
カルシファーはハウルの心臓をエネルギーに生きていました。
裏を返せば、心臓を失うとカルシファーは本来死んでしまう運命なのです。
カルシファーが生き延びた理由は、ソフィーの魔法の力が大きく関係しています。
映画では明確に説明されていませんが、ソフィーは原作では「言葉を現実にする力(言霊の魔法)」を持つ魔女なのです。
原作の設定も紹介!
ソフィーは言葉にしたこと物に吹き込む魔力を持っています。
例えば、「これを被った人がお金持ちと結婚できますように」と思いを込めて帽子を作れば、その帽子を被った人は本当にお金持ちと結婚してしまいます。(映画でもソフィーのお母さんがお金持ちと再婚する描写がありますが、このソフィーの力のおかげだということが原作でははっきり描かれています)
ソフィーは心臓をハウルに返す際、「カルシファーが千年も生き、ハウルが心を取り戻しますように・・」と祈りました。
だからこそ、カルシファーは心臓を返しても生き延びたのです。
物語のラストでは、黒いリボンが特徴的な帽子を被ったソフィーが描かれています。
宮崎駿監督作品において、黒は魔女を連想させるカラーでもあります。
ソフィーが自身の魔力を自覚し、魔女として生きていることを暗に示しているのでしょう。
ソフィーについてさらに詳しく理解したい方は、ぜひ以下の記事も合わせてご覧ください。
『ハウルの動く城』が意味が分からないと言われる理由
『ハウルの動く城』はストーリーがそもそも起承転結の構造になっていません。
それに加えて、セリフで説明されない設定が多々存在するため、初見で理解するのは難しい作品なのです。
鈴木敏夫プロデューサーのインタビューでも、以下のようなエピソードが明かされています。
いろんな話が次々と立ち上がるんですけど、一時間たっても収束に向かわず、まだ立ち上がり続けている。
「いったいどうやってまとめるんだろう?」と僕は不安になりました。
(中略)
宮さんが僕の部屋へ走ってきて、珍しくドアをバタンと閉めました。
「鈴木さん、話がまとまらないよ。どうしよう?」
ジブリの教科書 ハウルの動く城より抜粋引用
結果的にうまくハッピーエンドに向かったのはさすがですが、宮崎駿監督自身もまとめるのに苦労した作品なのですね(笑)
実際に落ち着いてストーリーを追いかけてみると、混乱する要素は多々あります。
- ソフィーの呪いを解く物語かと思いきや、いつの間にか呪いが解けているように見える(若返っている)
- カカシのカブや犬のヒンなど、ほとんど正体が語られないキャラクターが登場する
- 戦争の理由など、説明が省略されている要素が多い
とはいえ、このよくも悪くも混沌とした内容が『ハウルの動く城』の良さでもあります。
様々なストーリーが強引に詰め込まれているからこそ、見るたびに発見があり深みを感じられるのです。
- ハウルとソフィーの戦火の恋の物語
- ハウル・ソフィー・マルクル達の家族の物語
- ソフィーが自己肯定感を獲得する物語
などなど、ぜひ、様々な視点で『ハウルの動く城』を楽しんでみてくださいね。
『ハウルの動く城』の登場人物/声優
『ハウルの動く城』には不思議で魅力的なキャラクターが多数登場します。
- ソフィー(倍賞千恵子)
- ハウル(木村拓哉)
- 荒地の魔女(美輪明宏)
- マルクル(神木隆之介)
- カルシファー(我修院達也)
などなど、登場人物については以下の記事でまとめてみました。
登場人物について知りたい方は、ぜひ合わせてご覧ください。
『ハウルの動く城』の原作
『ハウルの動く城』の原作はダイアナ・ウィン・ジョーンズさんの『魔法使いハウルと火の悪魔』です。
タイトル | 魔法使いハウルと火の悪魔 |
分類 | 小説 |
作者 | ダイアナ・ウィン・ジョーンズ |
主な特徴 | 子ども向けに描かれたファンタジー小説 映画とは似ているようで異なる描写が多い |
映画『ハウルの動く城』は基本的な設定はこの原作に従って作られています。
ただ、やはり宮崎駿監督ですので、オリジナルストーリーもふんだんに盛り込まれています。
軽く列挙するだけでも、以下のような違いがあります。
- ハウルは浮気性のダメ人間
- マルクルは青年であり、ハウルの妹と恋に落ちる
- 荒地の魔女は最後まで悪役
等々、映画と原作の違いは以下の記事で詳細に解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
『ハウルの動く城』の記事執筆における参考書籍
まつぼくらぶでは『ハウルの動く城』の記事を執筆するにあたり、主に以下の書籍を参考にしています。
- ジブリの教科書13 ハウルの動く城(文春ジブリ文庫)
- ロマンアルバム ハウルの動く城(徳間書店)
- スタジオジブリ絵コンテ全集 ハウルの動く城(徳間書店)
- The art of HOWL’S MOVING CASTLE―ハウルの動く城(徳間書店)
- ジブリの教科書13 ハウルの動く城(文春ジブリ文庫)
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過去のインタビュー内容等を参考、引用しています。
ポチップ - ロマンアルバム ハウルの動く城(徳間書店)
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インタビューや設定情報が記載された公式のムック本です。
- スタジオジブリ絵コンテ全集 ハウルの動く城(徳間書店)
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『ハウルの動く城』の制作に使用された絵コンテです。
- The art of HOWL’S MOVING CASTLE―ハウルの動く城(徳間書店)
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イメージボードやアフレコ台本等、制作時の資料が多数掲載されています。
ポチップ
なお、作品の画像はスタジオジブリ公式サイトから無償提供されている場面写真を使用しております。