映画『アーヤと魔女』は実は原作に忠実に作られている作品です。
原作『アーヤと魔女』について知ることで、『アーヤと魔女』をさらに深く楽しむことができるでしょう。
当記事が参考になれば嬉しいです。
当記事はネタバレを含みます。
- スタジオジブリから徒歩圏内の小金井市在住のジブリオタク
- 好きな場所は三鷹の森ジブリ美術館
- 最も好きな作品は「風の谷のナウシカ」
原作『アーヤと魔女』の概要
『アーヤと魔女』の原作はダイアナ・ウィン・ジョーンズの同名児童小説です。
まずはこの原作の基本情報について紹介します。
原作の基本情報
『アーヤと魔女』はイギリスの児童小説です。
タイトル | アーヤと魔女 |
分類 | 小説 |
作者 | ダイアナ・ウィン・ジョーンズ |
主な特徴 | 気に入った宮崎駿がアニメ化を企画 |
『アーヤと魔女』の原作は、『ハウルの動く城』に続いてダイアナ・ウィン・ジョーンズの小説となっています。
宮崎駿が内容を気に入り、長編アニメーション化を企画した結果、宮崎吾朗監督で実現することとなりました。
原作者は『ハウル』と同じダイアナ・ウィン・ジョーンズ
『アーヤと魔女』の原作者はダイアナ・ウィン・ジョーンズです。
ファンタジーの女王としても知られる、イギリスのファンタジー小説作家です。
スタジオジブリとの縁も深く、『ハウルの動く城』もダイアナ・ウィン・ジョーンズ原作となっています。
『ハウルの動く城』の原作についてはこちらをご覧ください。
ハウルの動く城は3部作で作られていたように、ダイアナ・ウィン・ジョーンズは緻密に練られた物語がその特徴です。
あらすじ・結末はほぼ映画と同じ
「終わり方が中途半端」等と酷評されることが多い映画『アーヤと魔女』ですが、実はそのあらすじは原作どおりです。
- 「アヤツル」という名を持つ少女が主人公
※英語版の名前はEarwig(ハサミムシ:取り入ろうとするという意味を持つ) - 「12人の魔女に追われている」という手紙を残した母は登場しない
- 孤児院で「アーヤ」と名付けられ、アーヤはしたたかに育っていく
- アーヤは魔女の家に引き取られ、魔女の家に閉じ込められてしまう
- 魔女にこき使われるアーヤは、黒猫のトーマスと協力して魔女に立ち向かう魔法を作る
- そしてアーヤは、魔女の家でも自分の思い通りの生活を獲得していく
映画とほとんど同じであることが分かるのではないでしょうか。
唐突に「そしてアーヤは、魔女の家でも自分の思い通りの生活を獲得していく」となっていますが、実際に物語は急展開を見せます(笑)
この急展開も含めて、『アーヤと魔女』は原作通りの映画なのです。
【裏話】『アーヤと魔女』が中途半端な理由
実はダイアナ・ウィン・ジョーンズの『アーヤと魔女』は未完の作品です。
宮崎吾朗監督は映画制作時の記者会見で以下のように語っています。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズの作品は物語がよく練られて詰まっているものが多いですが、『アーヤと魔女』は隙間が多いなという印象でした。
後で知ったのですが、この作品はもともと描きかけの作品で、後から手を入れようと置いていたものだったらしいんですよ。それを彼女が亡くなる前にそのまま出版したのが『アーヤと魔女』。なので世に出たのは最近のことですが、書いたのはけっこう昔のことだったそうですね。
合同取材会見の宮崎吾朗監督発言
未完の段階であれだけの面白さはさすが、ファンタジーの女王です。
本来であれば、もっと緻密に伏線が散りばめられ、華麗に伏線回収されていくはずだったのでしょう。
- 12人の魔女とのエピソード
- マンドレイクの正体
- なぜアーヤは孤児院に預けらたのか
等々、映画でも原作でも「謎」が多く残っています。
あくまでも考察ではありますが、アーヤは「物事を自分の思い通りにする力」を持つ魔女です。
だからこそ、孤児院でも魔女の家でも自分の思い通りの環境を手に入れています。
「魔女」アーヤの活躍が本当であればじっくり描かれる作品だったのかもしれませんね。
ちなみに『ハウルの動く城』の主人公・ソフィーは「言葉にしたことを現実にする」言霊の力を持つ魔女であることが原作では明かされています。
自分の知らないところで魔法の力を持っているというのは、アーヤとソフィーの共通点です。
『アーヤと魔女』の原作と映画で異なる点
原作と映画で異なる主な点は以下のとおりです。
- かつてロックバンド「Earwig」を組んでいたという設定
→原作にはこの設定は無し - 母が追われている様子や過去の回想
→原作では母は手紙で登場するのみ - エンドロールで描かれたアーヤ達のその後
映画『アーヤと魔女』では音楽が褒められることが多い作品です。
『アーヤと魔女』の魅力であるロックバンド「Earwig」は、ロック好きの宮崎吾朗監督オリジナルの設定なのです。
ロックバンドの設定は、舞台・時代設定から思い付きました。
まず作品の舞台はイギリスで、あとはアーヤが家に閉じ込められるわけですが、スマートフォンや携帯電話があると外と連絡が取れちゃうので、時代は1990年くらいにしようと考えました。
すると1990年に10歳になった女の子が生まれたのは1980年で、そのお母さんの若かりし頃は1970年代、その時代といえば、僕が好きなイギリスのロックが華やかだった頃だな。
合同取材会見の宮崎吾朗監督発言