当記事では、『となりのトトロ』の主人公サツキとメイについて紹介します。
年齢や声優などの基本情報から、知る人ぞ知る宮崎駿監督のインタビュー内容まで紹介します。
サツキとメイについて、さらに詳しくなってもらえれば嬉しいです。
- スタジオジブリから徒歩圏内の小金井市在住のジブリオタク
- 好きな場所は三鷹の森ジブリ美術館
- 最も好きな作品は「風の谷のナウシカ」
当記事は結末等のネタバレを含みますのでご注意ください。
サツキとメイのプロフィール
まずは簡単に、サツキとメイの簡単なプロフィールを紹介します。
『となりのトトロ』の登場人物は以下の記事で一覧にしていますので、ぜひこちらも合わせてご覧ください。
サツキの基本情報
サツキの基本情報は以下のとおりです。
入院中のお母さんに代わって家事もテキパキこなす、しっかり者のお姉さんです。
本名 | 草壁サツキ |
年齢 | 12歳 |
一言プロフィール | 活発でしっかり者のお姉ちゃん |
声優 | 日髙のり子 |
サツキといえばしっかり者のイメージがありますが、設定資料では当初は小学4年生の設定でした。
4年生にしてはしっかりしすぎているため、設定年齢が引き上げられたのでしょう。
物語の中ではお母さん代理を懸命に務めていますが、本来は活発で子どもらしい女の子です。
ジブリの公式本(ロマンアルバム)においても子どもらしい様子が紹介されています。
いわゆる少女っぽい事は好きではない。
走り、跳び、笑うのが大好き。
男どもとのケンカも一歩もひかずにやる
ロマンアルバム 設定資料より
トトロのエンディングでは、お母さんが帰宅後の様子が描かれていますが、ここでは「しっかり者のサツキ」ではなく「子どもらしいサツキ」が数多く描かれています。(男の子達とのケンカの様子もありましたね)
エンディングではお母さん代理から解放され、本来の子どもらしい生活に戻ったということなのでしょう。
メイの基本情報
メイの基本情報は以下のとおりです。
怖いもの知らずの「ザ・4歳」とも言える女の子です。
本名 | 草壁メイ |
年齢 | 4歳 |
一言プロフィール | 天真爛漫で怖いもの知らずの女の子 |
声優 | 坂本千夏 |
まっくろくろすけを捕まえてみたり、トトロを追いかけたりと怖いもの知らずに見えるメイです。
一方で、4歳らしい人見知りな性格も描かれています。
おばあちゃんと出会ったシーンではサツキの後ろに隠れてしまったり、留守番に耐えられずサツキの小学校に行ってしまったり・・・
まだ「常識」を持たないメイは、自由で見ていて楽しいキャラクターです。
サツキとメイの詳細設定・裏話
ここからは宮崎駿監督をはじめとしたジブリ関係者の過去インタビューをもとに、サツキとメイの詳細設定・裏話を紹介します。
当初の案では姉妹ではなくひとりの女の子だった
『となりのトトロ』といえば、サツキとメイの「姉妹の物語」ですよね。
ただ実は、当初は主人公は一人の女の子だったのです。
同時上映の『火垂るの墓』(高畑勲監督)の上映時間が延びたことを受け、宮崎駿監督も対抗したというのが姉妹誕生の背景です。
このエピソードについては、鈴木敏夫プロデューサーがインタビューの中で語っています。
『となりのトトロ』は本来、女の子とオバケの交流で、その女の子は一人だったんですが、高畑さんへの対抗心に燃えた宮さんは「映画を長くするいい方法はないかな」と言い出して、それで一人の女の子を姉妹にすることを自ら思いつくんです。サツキとメイは、宮崎駿の負けず嫌いの性格から誕生したのです。
ジブリの教科書3 となりのトトロ 鈴木敏夫インタビューより
なお、『となりのトトロ』のポスターでは一人の女の子のレイアウトがそのまま採用されています。
髪型はメイ、服装はサツキ、身長は中くらいでしょうか。
サツキでもメイでもない女の子がトトロと並んでいますね。
このポスターはサツキがトトロと出会う雨のバス停のシーンでしょう。
実際のシーンは以下の画像のとおりです。
3人が並ぶポスターも検討されたようですが、どうしても宮崎駿監督が納得いかず、サツキでもメイでもないポスターとなったそうです。
サツキが泣くシーンは当初の予定にはなかった
病院からの電報を受け取った後、おばあちゃんの前でサツキが大泣きするシーンを覚えていますでしょうか。
しっかり者のサツキが大声で泣く様子は、サツキの抱えていた不安が感じ取れる印象深い1シーンです。
この場面について、宮崎駿監督は以下のように語っています。
はじめから、あんなにわんわん泣かせるつもりじゃなかったんですよ。サツキはきっと張りつめてる娘かなと思ってたんですけど。
(中略)
不良少女になりますよ、あれじゃ。だから、この娘はどこかで感情を爆発させてあげないと駄目だと思ったのは、半分のBパートまで絵コンテが行ってからですね。
ロマンアルバム となりのトトロ 宮崎駿監督インタビューより
当初はこのシーンは宮崎駿監督の予定にはなかったのです。
ただ、このシーンが無いと物語を通して一貫してサツキが「良い子」過ぎるのです。
本来なら遊びまわりたい年ごろなのに、「お母さん代理」として家事をこなし、幼い妹の面倒もみます。
これでは不満・不安が蓄積し、不良少女になるというわけですね。
このサツキの涙を見て、メイは決意した表情で駆けていきます。
しっかり者のお姉ちゃんの泣く様子を見て、「私が何とかしなくては」と思ったのでしょう。
この1シーンはサツキにとっても、メイにとっても大きな意味をもつ重要な場面なのです。
メイが先?サツキが先?トトロに出会う順番
『となりのトトロ』の物語中では、まずはメイがトトロと出会いました。
この出会う順番については、宮崎駿監督は以下のように語っています。
トトロと最初に出会うのは、どちらだろうと考えたんですけど、やはり物おじしないメイが先の方がいいんじゃないか。いくら気丈なサツキだって、あんなどでかいのがいきなり雨の中隣に立ったらダメージうけちゃうでしょう。
ロマンアルバム となりのトトロ 宮崎駿監督インタビューより
サツキはもう6年生ですから、確かに突然トトロが現れたら恐怖で倒れてしまうかもしれませんね(笑)
メイからトトロの話を聞いていたからこそ、自然とその存在を受け入れられたのでしょう。
宮崎駿監督のこだわり?サツキとメイの子どもらしさに注目!
スタジオジブリ作品と言えば、その描写の細かさ、こだわりが特徴のひとつです。
筆者自身子育ての経験がありますが、サツキやメイの様子は本当に子どもらしいです。
「あー子どもってこういうところあるよねー!」と共感できる場面が多々登場します。
ここからは、宮崎駿監督のこだわりが感じられるサツキやメイのポイントを紹介します。
メイのかわいい言い間違い
見ていて気付いた方は多いと思いますが、メイの言い間違いは可愛いです。
- オタマジャクシ→おじゃまたくし
- トウモロコシ→とんもころし
4歳といえば、この手の言い間違いはあるあるですよね。
「とんもろこし」はサツキとおばあちゃんとの会話の中でしたが、誰もあえて指摘をしないのもリアルです。
DVDの英語訳では「おじゃまたくし」が「wollypogs」と表現されていました(正しくは「polliwog」)
サツキとメイのお母さんへの接し方の違い
入院中のお母さんを訪ねた際、メイは躊躇なくお母さんを抱きしめます。
一方のサツキは、飛びつくことはなくお母さんとの会話を楽しみます。
この違いはもちろん、サツキとメイの年齢の違いを踏まえたものです。
髪の毛梳かしてあげるっていう儀式がね、サツキにとってはとても意味があることなんだと思うんです。メイはね、膝にすがりつくことで、母親の体温を感じることができるんですよ。メイは抱きつけるんですね、まだ。
ロマンアルバム となりのトトロ 宮崎駿監督インタビューより
髪を梳かすシーンはサツキにとって、母親を感じる重要なシーンなのです。
もうベタベタと甘えることはできないけれど、顔を赤らめて髪を梳いてもらうサツキは可愛らしいですね。
サツキとメイのふて寝する様子
病院からの電報を貰い、サツキとメイはケンカをします。
家に帰った後にサツキとメイがそれぞれ別の場所でふて寝している様子は、何ともリアルでした。
この場面は、宮崎駿監督も悩んだことを過去のインタビューで明かしています。
電話をかけてから、帰ってきてね、サツキとメイが寝ているっていう所があったでしょう?あそこは、本当に困ったんですよ、しばらく。しゃがんでね、台所のとこ行ってしょぼんとしているサツキを描いてみたら、全然違うんですよ。
ロマンアルバム となりのトトロ 宮崎駿監督インタビューより
落ち込んだ子どもたちはどうするだろうか・・?
宮崎駿監督が導き出した答えが「寝る」ということだったのです。
我が子を見ていても、確かにそうです。困ったときにはコテンと寝てしまうというのは「あるある」ではないでしょうか。
サツキは何も無い部屋で横になっているのに対し、メイはおもちゃに囲まれながら、トウモロコシを抱きしめて寝ています。
ストーリーに直接影響する描写ではありませんが、こうした細かい作りこみに注目するとさらに作品が楽しめますよ。
『となりのトトロ』の記事執筆における参考書籍
まつぼくらぶでは『となりのトトロ』の記事を執筆するにあたり、主に以下の書籍を参考にしています。
- ジブリの教科書3 となりのトトロ(文春ジブリ文庫)
- ロマンアルバム となりのトトロ(徳間書店)
- スタジオジブリ絵コンテ全集 となりのトトロ(徳間書店)
- ふたりのトトロ(講談社)
- ジブリの教科書3 となりのトトロ(文春ジブリ文庫)
-
過去のインタビュー内容等を参考、引用しています。
- ロマンアルバム となりのトトロ(徳間書店)
-
インタビューや設定情報が記載された公式のムック本です。
- スタジオジブリ絵コンテ全集 となりのトトロ(徳間書店)
-
『となりのトトロ』の制作に使用された絵コンテです。
ポチップ - ふたりのトトロ(講談社)
-
『となりのトトロ』で制作デスクを務めた木原浩勝さんの著書です。
デスク目線でのエピソードが掲載されている貴重な資料です。2018年出版と、比較的新しいのも特徴です。
ポチップ
なお、作品の画像はスタジオジブリ公式サイトから無償提供されている場面写真を使用しております。