『くじらとり』は、ジブリ美術館で上映される短編アニメーションです。
土星座(ジブリ美術館)第1弾の作品で、原作は名作絵本の「いやいやえん」に収録されている「くじらとり」です。
当記事では、『くじらとり』について内容や実際に見た感想、制作秘話について紹介します。
- スタジオジブリから徒歩圏内の小金井市在住のジブリオタク
- 好きな場所は三鷹の森ジブリ美術館
- 最も好きな作品は「風の谷のナウシカ」
当記事はネタバレを含みますのでご注意ください。
『くじらとり』のあらすじ・見どころ
『くじらとり』のあらすじは、ジブリ美術館のホームページ上では以下のように記載されています。
ちゅーりっぷ保育園にかようしげるくん。
年上のほしぐみの男の子たちが積み木で船を作っているのをみて、仲間に入れてもらいたいしげるですがなかなか入れてもらえません。とうとう完成した船は「ぞうとライオン丸」と名付けられ、くじらとりに出かけていきました。
ジブリ美術館ホームページより引用
『くじらとり』の基本情報
脚本・監督 | 宮崎駿 |
公開年 | 2001年 |
原作 | 絵本「いやいやえん」(福音館書店 刊) 中川李枝子 さく、大村百合子 え |
上映時間 | 約16分 |
以下、『くじらとり』の魅力をネタバレを含みながら紹介します。
原作に忠実なほのぼのストーリー
『くじらとり』には原作が存在します。
有名な児童書『いやいや園』(中川李枝子 さく、大村百合子 え)です。
この中の「くじらとり」のエピソードがそのまま短編アニメになっています。
ストーリーはほぼ原作通りで、絵の雰囲気も『いやいやえん』に寄せられています。
チューリップ組の子どもたちが繰り広げるほのぼのとした楽しいストーリーです。
小さな主人公?「しげるくん」が可愛い
原作の『いやいやえん』の作者である中川さんは実際に保育士だったこともあり、登場する子どもたちはリアルです。
ストーリーは保育園の子どもたちが積み木で作った船で「くじらとりごっこ」で遊ぶ様子を描いたものです。
船には「ほしぐみ」の男の子たちが乗り込みますが、主人公は学年が下の「しげるくん」として描かれています。
しげるくんは一生懸命にほしぐみのお兄さん達の会話に入ろうとし、船に混ぜてもらおうと頑張ります。
乗船を断られた後も、カメラを持って船を出迎えるなど、混ぜてもらおうと動き回っています。
邪魔者扱いされながらも一生懸命な様子は可愛くて必見です。
「あー、小さい子ども達って確かにこんな感じだよな」と納得させられる作品でもあります。
『くじらとり』の制作秘話
『くじらとり』のパンフレットを参考に、制作秘話について紹介します。
子どもたちの声は保育園で収録するプランがあった
本来アニメの音声は役者さんのセリフを収録する「アフレコ」が行われます。
ただ、この『くじらとり』については実際に子どもたちの「くじらとりごっこ」を録音しようというプランがあったのです。
宮崎監督はある日、「この作品の子供たちの声は、実際の保育園でお遊戯みたいに『くじらとり』ごっこを子供たちにさせて、それを使おう」と言い出した。(中略)ごっこ遊びを収録して、その声を使おうというのだ。
『くじらとり』パンフレットより引用
結果的には実現するのは難しく叶わなかったアイデアですが、新しい手法を模索するジブリのスタンスが感じられるエピソードです。
エンディング曲は宮崎駿監督の「父親としての記憶」がヒントに
『くじらとり』では挿入歌とエンディング曲が流れます。
子どもたちの合唱で歌われており、保育園らしさを感じられる曲に仕上がっています。
特にエンディング曲については、以下のような宮崎駿監督のこだわりがパンフレットで紹介されています。
監督はある歌を使いたいと、「きょうも たのしく すみました~」とスタッフに歌って聞かせ、「こういう曲だから、探して」と一言。実はこの歌、監督の息子さんが子供の頃、保育園に迎えにいった時によく歌われていたものらしく、監督にとって思い出深いものだったのだ。
『くじらとり』パンフレットより引用
『くじらとり』を実際に見た感想
私自身は幼少期に原作の『いやいやえん』を読んでいたため、どこか懐かしく『くじらとり』を見ていました。
良くも悪くも原作に忠実で、原作へのリスペクトを感じる作品です。
欲をいえば、他の多くのジブリ作品のようにジブリ独自のアレンジを見てみたかった気もします。
とはいえ、子ども達の動きの描写にはこだわりを感じられ、さすがジブリといった出来栄えです。
ジブリ美術館第1弾のアニメーションということもあり、素晴らしい作品に仕上がっています。
【どこで見れる?】『くじらとり』が見れるのはジブリ美術館だけ
『くじらとり』を見ることができるのは、三鷹の森ジブリ美術館だけです。
5月の土星座のえいがは、『くじらとり』です。男の子たちが積み木で作っている船は「ぞうとライオン丸」と名付けられ、大海原へとくじらとりに出発します。大ベストセラーの『いやいやえん』の同名の物語をもとに作られました。とても大きな大きなお話なのです…! pic.twitter.com/kXmub5e7qY
— 三鷹の森ジブリ美術館 (@GhibliML) May 2, 2022
動画配信も無ければ、DVDも販売されていません。
また、ジブリ美術館でも常に見れるわけではありません。
ジブリ美術館の小さな映画館「土星座」では、10種類の短編アニメーションが定期的に入れ替えで上映されています。
上映スケジュールを確認したうえで、ジブリ美術館のチケットを確保する必要があるのです。
上映スケジュールや作品の一覧等、土星座の詳細は以下の記事で詳細にまとめていますので、ぜひ合わせてご覧ください。