【もののけ姫】原作は絵本?映画の制作経緯を紹介!

「もののけ姫の原作は絵本」時々耳にするネタですが、実はこれは半分正解で半分間違いです。

たしかにスタジオジブリは絵本『もののけ姫』を制作していますが、その内容は映画とは異なります。

当記事では原作と言われることのある絵本『もののけ姫』を紹介したうえで、映画の制作経緯を解説します。

宮崎駿監督や鈴木敏夫プロデューサーの過去インタビューを参考に執筆しますので、役に立てば幸いです。

筆者のプロフィール
  • スタジオジブリから徒歩圏内の小金井市在住のジブリオタク
  • 好きな場所は三鷹の森ジブリ美術館
  • 最も好きな作品は「風の谷のナウシカ」

当記事は映画「もののけ姫」を一度は見ている方向けに執筆しています。
結末等のネタバレを含みますのでご注意ください。

目次

絵本『もののけ姫』とは?

もののけ姫-スタジオジブリ 場面写真より

絵本『もののけ姫』は1993年12月に徳間書店から出版された作品で、著者は宮崎駿監督です。

映画の公開(1997年7月12日)の4年ほど前に出版されていることもあり、映画『もののけ姫』の原作とされています。

既に絶版となっており、現在は入手するのも難しい状況です(高い・・)

絵本『もののけ姫』は意外と図書館に置いてあったりするので、購入が難しい場合はぜひチェックしてみてください。

以下、この絵本『もののけ姫』について解説します。

絵本『もののけ姫』のあらすじ

絵本『もののけ姫』を一言で表現するなら「宮崎駿の美女と野獣」と言ったところでしょうか。

以下、超簡単にあらすじをまとめます。

絵本『もののけ姫』の箇条書きストーリー

  • とある武士が大山猫のもののけに出会い、襲われる
  • 武士は命乞いの代わりに、三の姫(3人目の娘)をもののけに渡すことを約束
  • 場面は代わり、武士は悪霊に体を貸すことで最強の武将となる
  • もののけは三の姫を連れ帰ったものの、三の姫は結婚を断固拒否
  • 悪霊に憑かれた父(武士)が心配な三の姫は、「父を人間に戻したい」ともののけに懇願
  • もののけは三の姫とともに悪霊退散の旅に出る
  • 悪霊退散の鏡を入手したもののけと三の姫は、武士のもとに向かうも悪霊に討伐されてしまう
  • 倒れたもののけに鏡を向けると、少年の姿が映り、三の姫はもののけの正体を悟る
  • 三の姫はひとり父のもとに向かい、悪霊退散を狙うも悪霊の反撃でピンチに
  • 悪霊が火を吹くところにもののけが飛び込み、三の姫を救う
  • 命を取りとめたもののけは三の姫を連れて山に帰る

映画『もののけ姫』を見た方なら分かると思いますが、映画とまったく違いますね(笑)

初期構想のイメージボードの位置づけ

映画『もののけ姫』は1997年に公開された映画ですが、宮崎駿監督の中では1980年代から構想がスタートしていたと言われています。

その構想の中で作られていたイメージボードが絵本化されているのです。

宮さんという人は、たえずいろんな企画を抱えている人で、『もののけ姫』の原案も何年も前から話に出ていたんです。描きためたイメージボードもあったので、まずはそれらをまとめて絵本の形で出版することにしました。

ジブリの教科書10『もののけ姫』 鈴木敏夫インタビューより

つまり絵本『もののけ姫』は宮崎駿監督の初期構想なのです。

ただ、結果的にこの初期構想と最終的な内容は大きく異なっています。

初期構想である絵本『もののけ姫』について、宮崎駿監督は以下のように語っています。

最大の問題は、物語の世界が、従来の映画や民話からの借物でありすぎる点でした。日本史や農耕文化史、大きな歴史観が劇的に変わりつつある時代に居あわせながら、その成果が少しも反映されていません。
(略)
時代劇を作るなら、もっと本格的なものにしたい。そう考えて、あれほどやりたかったはずの『もののけ姫』を卒業することにしたのです。出版物に丸ごと出してしまったのも、終わった作品と決めたからでした。

ジブリの教科書10『もののけ姫』より

宮崎駿監督にとって絵本『もののけ姫』は、「卒業した作品」であり、「終わった作品」だったのです。

初期構想をリセットして、完全に新しい映画『もののけ姫』を作ったわけですね。

そのため絵本『もののけ姫』は原作とは言われるものの、その内容は映画とまったく異なるのです。

絵本と映画の共通点

絵本『もののけ姫』と映画『もののけ姫』では、そのストーリーは全く異なります。

それでも絵本が『もののけ姫』の構想の根源ということもあり、いくつかの共通点を見つけることができます。

サンの名前の由来は「三の姫」

映画『もののけ姫』の主要人物「サン」の名前の由来は「三の姫」から来ています。

サンの抱える辛い過去

サンは親に捨てられ、山犬モロに育てられた過去を持ちます。

モロから逃れるために、サンの親はサンを身代わりにしています。

これは、大山猫から逃れるため三の姫を差し出した、絵本の武士と同じ構図ですね。

要するにヒロインのサンについては、絵本の要素が少しだけ残ったわけですね。

映画『もののけ姫』の制作経緯

もののけ姫-スタジオジブリ 場面写真より

初期構想の絵本『もののけ姫』とまったく異なる内容の映画『もののけ姫』ですが、どのようにして制作されたのでしょうか。

その経緯を、過去のインタビュー内容等をもとに紹介します。

絵本『もののけ姫』からの脱却

宮崎駿監督が絵本『もののけ姫』から完全に脱却し、映画『もののけ姫』の構想を完全新規で作ったのは1995年のことでした。

絵本の出版が1993年、映画の公開が1997年なので、そのちょうど中間の時期ですね。

宮崎監督は1995年に入り、大きな方針転換を決断する。初期設定案とそれに付随するアイデアを全て捨てて、完全に新しい物語を作るというのだ。

ジブリの教科書10『もののけ姫』より

この時にまとめられた企画書では、以下のように企画意図がまとめられています。

中世の枠組みが崩壊し、近世へ移行する過程の混沌の時代室町期を、二十一世紀にむけての動乱期の今と重ね合わせて、いかなる時代にも変わらぬ人間の根源となるものを描く。

神獣シシ神をめぐる人間ともののけの戦いを縦糸に、犬神に育てられ人間を憎む阿修羅のような少女と、死の呪いをかけられた少年の出会いと解放を横糸に織りなす、鮮烈な時代冒険活劇。

ジブリの教科書10『もののけ姫』より

まさに映画『もののけ姫』の世界ですね。

絵本『もののけ姫』の設定から脱却し、この企画が生まれたところから、映画『もののけ姫』はスタートします。

本来のタイトルは『アシタカせっき』だった?

映画『もののけ姫』の主人公はアシタカです。

絵本『もののけ姫』の構想は一度捨てていることもあり、宮崎駿監督は新たなタイトルを考えていました。

それが『アシタカせっき』です。

草の陰で人の耳から耳へと伝わった物語という意味が込められています。

ただ、鈴木敏夫プロデューサーは以下の理由から『アシタカせっき』よりも『もののけ姫』のタイトルを気に入っていました。

  • 「もののけ」と「姫」の言葉のギャップによるインパクト
  • 映画の内容は「姫」がいた時代の話
  • これまでの宮崎駿作品には「の」が入っているというジンクス

そこで鈴木敏夫プロデューサーは勝手にテレビで『もののけ姫』のタイトルを公表してしまったのです。

これがタイトルだけが絵本のまま『もののけ姫』となった背景です(笑)

『もののけ姫』の記事執筆における参考書籍

まつぼくらぶでは『もののけ姫』の記事を執筆するにあたり、主に以下の書籍を参考にしています。

  • ジブリの教科書10 もののけ姫(文春ジブリ文庫)
  • ロマンアルバム もののけ姫(徳間書店)
  • 絵本 もののけ姫(徳間書店)
  • スタジオジブリ絵コンテ全集11 もののけ姫(徳間書店)
ジブリの教科書10 もののけ姫(文春ジブリ文庫)

過去のインタビュー内容等を参考、引用しています。

ロマンアルバム もののけ姫(徳間書店)

インタビューや設定情報が記載された公式のムック本です。

絵本 もののけ姫(徳間書店)

『もののけ姫』の原作とされています。
※内容は映画と異なり、初期構想のイメージボードです。

スタジオジブリ絵コンテ全集11 もののけ姫(徳間書店)

『もののけ姫』の制作に使用された絵コンテです。

なお、作品の画像はスタジオジブリ公式サイトから無償提供されている場面写真を使用しております。

もののけ姫 スタジオジブリ場面写真

当記事の拡散は大歓迎です

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