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【崖の上のポニョ】赤ちゃんのシーンの意味を考察【大正時代の夫婦とは】

崖の上のポニョ_赤ちゃんのシーン

当記事では、『崖の上のポニョ』の中でも意味深な場面「ポニョと赤ちゃんのふれあい」について考察します。

実はこのシーンは重要な意味が込められていることを、宮崎駿監督自身が語っています。

噂される都市伝説とセットで解説しますので、参考になれば嬉しいです。

以下の記事では『崖の上のポニョ』のストーリーを徹底解説しています。

なかなかボリュームの多い記事ですが、この記事でポニョの理解が深まれば嬉しいです。

筆者のプロフィール
  • スタジオジブリから徒歩圏内の小金井市在住のジブリオタク
  • 好きな場所は三鷹の森ジブリ美術館
  • 最も好きな作品は「風の谷のナウシカ」

当記事は結末等のネタバレを含みますのでご注意ください。

目次

『崖の上のポニョ』の赤ちゃんのシーンを考察

ポニョと宗介は物語の終盤で赤ちゃんを連れた若い夫婦と出会います。

赤ちゃんとポニョのやりとりは何とも不思議な雰囲気となっており、この意味深なシーンを考察してみましょう。

赤ちゃんのシーンとは?

崖の上のポニョ-スタジオジブリ 場面写真より

町が水没した後、宗介とポニョは赤ちゃんを連れた若い夫婦と出会います。

この赤ちゃんに対して、ポニョは持っていたスープや食べ物を差し出します。

また、泣いてグズッてしまう赤ちゃんに対して、ポニョはギュッと顔を近づけてあやす様子も見せました。

このお母さんの声優は、『千と千尋の神隠し』で千尋役を務めた柊瑠美さんです。

この場面はポニョの人間としての第一歩

このシーンは実はポニョにとって重要なシーンであることを宮崎駿監督が明かしています。

ここはどうしても必要なシーンでした。

あれはポニョがその後に、人間としてちゃんと生活していけるという担保なんです。

あの時彼女は赤ん坊という、自分以外の存在に思いやる気持ちを持てた。

ジブリの教科書『崖の上のポニョ』より

自分の欲望が最優先で、自己中心的ともいえたポニョが初めて他人を思いやったシーンです。

ポニョも少しずつ人間として成長していくことが予感できる場面となっているのです。

ポニョは物語のラストで人間になりますが、この場面を挟むことで、ポニョが立派な人間になれることを表しています。

ポニョから赤ちゃんへの祝福のメッセージ

これは完全に当サイト独自の考察ですが、この場面は赤ちゃんへの祝福のメッセージと考えられます。

『崖の上のポニョ』には「生まれてきてよかった」というコピーが存在しますが、このコピーをまさに表現している場面なのです。

この時の赤ちゃんの境遇を整理してみましょう。

  • 生まれてきたばかりで無力な自分
  • お腹もすいているが、上手く伝えることもできない
  • 町は海に沈み、大人たちも困っている

実はこの境遇は、不景気や環境問題にあふれた現代に生まれた子ども達と共通するのではないでしょうか。

この場面の絵コンテで、「なぜなくのかポニョにはわかる」と記載されています。

赤ちゃんの絵コンテ
崖の上のポニョ絵コンテより引用

ポニョは赤ちゃんの不満を受け止め、「生まれてきていいんだよ」という祝福の気持ちを態度で示したと考えられます。

半魚人で魔法使いのポニョだからこそ、赤ちゃんの気持ちを理解し、受け止めてあげられたのです。

実際に宮崎駿監督はインタビュー等で「こどもは誰もが祝福されるもの」等といった発言を残しています。

宮崎駿監督はこの場面に、現代の子ども達へ「生まれてきてよかった」という祝福のメッセージを込めているのではないでしょうか。

赤ちゃんに関する都市伝説

この赤ちゃんのシーンに関連して、『崖の上のポニョ』は「みんな実は亡くなっている」という都市伝説が存在します。

ここではこの都市伝説について解説します。

みんな亡くなっている?都市伝説の内容

若いお母さん役の柊さんが、映画パンフレットの中で「監督から大正時代の落ち着いたお母さんと言われた」と明かしています。

この発言を受けて、以下のような考察が生まれてたことが都市伝説の発端です。

  • 『崖の上のポニョ』は死後の世界を描いており、この場面は三途の川を渡っているところだ
  • この家族は大正時代に亡くなった家族で、いまも成仏できずに彷徨っていたのだ

この「大正時代の夫婦」「大正時代のお母さん」というキーワードが広まり、『崖の上のポニョ』の死亡説が語られるようになったのです。

重要キーワード「大正時代の夫婦」の意味

意味深な「大正時代の夫婦」というキーワードですが、続・風の帰る場所に掲載されたインタビューでは都市伝説とは真逆の意図が読み取れます。

以下、『続・風の帰る場所』に掲載されている宮崎駿監督の発言の抜粋です。

(編注:洪水のあとの町の人々について問われて)

それも難民にするのがヤだったんですよね。みんな無くなっちゃったから一生懸命やっていこうっていう。

その時もエンジンよりもオールで漕ごうっていう。どうもあのシーンだけ突然、昭和30年ぐらいになっちゃうんですけど(笑)

赤ん坊を抱えてる婦人の服装も花柄のワンピースがいいとかね。「なんかこれ、ちょっと古いなあ」とか言いながら、そうじゃないとピシッとこないんですよね。

続・風の帰る場所より引用

つまり宮崎駿監督は、町の人々が元気な様子を描こうとした結果、古い雰囲気になったということです。

これは宮崎駿監督のイメージする「元気な日本」が昭和30年くらいだからということなのでしょう。

「大正時代のお母さん」という発言も、宮崎駿監督から柊さんへの演技指導の中で生まれた発言です。

「昔ながらの元気な日本人」という意図で、「大正時代のお母さん」という単語を用いたのではないでしょうか。

このように考えると「大正時代のお母さん」という単語を都市伝説の根拠にするのは違うのかもしれませんね。

『崖の上のポニョ』の記事執筆における参考書籍

まつぼくらぶでは『崖の上のポニョ』の記事を執筆するにあたり、主に以下の書籍を参考にしています。

  • ジブリの教科書15 崖の上のポニョ(文春ジブリ文庫)
  • ロマンアルバム 崖の上のポニョ(徳間書店)
  • スタジオジブリ絵コンテ全集 崖の上のポニョ(徳間書店)
  • THE ART OF Ponyo on the Cliff(徳間書店)
  • 続・風の帰る場所(ロッキング・オン)
ジブリの教科書15 崖の上のポニョ(文春ジブリ文庫)

過去のインタビュー内容等を参考、引用しています。

編集:スタジオジブリ, 編集:文春文庫
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ロマンアルバム 崖の上のポニョ(徳間書店)

インタビューや設定情報が記載された公式のムック本です。

スタジオジブリ絵コンテ全集 崖の上のポニョ(徳間書店)

『崖の上のポニョ』の制作に使用された絵コンテです。

THE ART OF Ponyo on the Cliff(徳間書店)

イメージボードやアフレコ台本等、制作時の資料が多数掲載されています。

続・風の帰る場所(ロッキング・オン)

ここでしか語られない、独自インタビューが掲載されています。

ポニョについても70ページ近くのボリュームで語られており、参考になります。

なお、作品の画像はスタジオジブリ公式サイトから無償提供されている場面写真を使用しております。

崖の上のポニョ スタジオジブリ場面写真

当記事の拡散は大歓迎です

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