【毛虫のボロ】どこで見れる?あらすじと制作秘話を紹介【ネタバレ・感想あり】

毛虫のボロ_あらすじと制作秘話

短編アニメーション『毛虫のボロ』は、ジブリ美術館で上映される短編アニメーションです。

当時引退を宣言していた宮崎駿監督の作品ということもあり、短編ながら非常に有名な作品です。

当記事では、『毛虫のボロ』について内容や制作秘話を紹介します。

筆者のプロフィール
  • スタジオジブリから徒歩圏内の小金井市在住のジブリオタク
  • 好きな場所は三鷹の森ジブリ美術館
  • 最も好きな作品は「風の谷のナウシカ」

当記事はネタバレを含みますのでご注意ください。

目次

『毛虫のボロ』のあらすじ・特徴

毛虫のボロ
毛虫のボロパンフレット(撮影:まつぼくらぶ)

『毛虫のボロ』のあらすじは、ジブリ美術館のホームページ上では以下のように記載されています。

草むらのなか、夜が明ける前に卵からかえった毛虫のボロ。

初めて見る朝陽はとてもまぶしくて、世界はおいしそうな空気にあふれていました。ボロは、ボロギクの根元に降り立ち、毛虫の先輩や外敵が行き来する世界へと踏み出します。

ジブリ美術館ホームページより引用

ここでは、もう少し踏み込んで『毛虫のボロ』の内容を紹介させてください。

1ミリの毛虫の不思議な世界

『毛虫のボロ』はその名のとおり、毛虫であるボロが主人公の短編アニメーションです。

何気なく生活している人間の目には映らない、1ミリの毛虫の不思議な世界を描いています。

『毛虫のボロ』の主な内容
  • ボロが卵から孵るところから物語は始まる
  • 空気や太陽光、菊の葉等をおいしそうに食べる
  • 仲間の毛虫の大群に合流、毛虫のフンが隕石のように降り注ぐ
  • カリウドバチに遭遇、毛虫の群れが襲われる
  • ふとしたきっかけでボロは人間の女の子のスカートに
  • 女の子の家のベランダから、ボロは葉っぱに乗せられてヒラヒラと落下する
  • 草花の茂みにボロが着地したところで、おしまい

箇条書きにしてしまうと、なんとも地味でほのぼのとしたストーリーです。

ただ、着目すべきは「1ミリの毛虫の世界」の描写です。

宮崎駿監督自身がパンフレットのインタビューで、「天敵であるカリウドバチは無人攻撃機をイメージした」と語っています。実際にかなりメカニックな見た目をしており、恐怖感は倍増しました。

また、空気や太陽光、花粉などはゼリーのような目に見えるものとして表現されています。

人間の目には見えないものが、虫の目ではしっかりと「見える」ということを描写しているのです。

「なるほど・・!」と唸らされることの多い作品です。

声と音の担当はタモリさん

『毛虫のボロ』の効果音はタモリさんが担当しています。

タモリさんといえば『風立ちぬ』の効果音を担当したことでも有名です。

そのほか、ジブリ美術館で上映される短編アニメーション『やどさがし』でも効果音を担当しています。

宮崎駿監督はタモリさんを「天才」と呼んでおり、絶大な信頼を寄せています。

タモリさんは天才ですから、類似品はない。こう来るかなと思ったら全く違うアプローチをしてきたり、全部予習して来てくださって、一発でやってくれました。だからこっちも余計なことを言わない。彼の才能に全部任せました。

『毛虫のボロ』パンフレットー宮崎駿監督発言より

実際にボロの世界の音は、人間の耳には聞こえない音がほとんどです。

それを見事に、ある意味気持ち悪さやリアルさを感じさせる音で表現されていました。

『毛虫のボロ』の制作秘話・裏話

『毛虫のボロ』の公開は2018年ですが、実は構想は20年以上にわたると言われています。

ここでは、その間の制作秘話を過去のインタビュー等を参考に紹介します。

宮崎駿監督は『もののけ姫』より『毛虫のボロ』が作りたかった?

スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが至る所で発言している鉄板ネタです。

『もののけ姫』の立ち上げ当時、宮崎駿監督は『毛虫のボロ』をやりたがっていたというエピソードです。

結果的に、『もののけ姫』をやりたい鈴木敏夫プロデューサーの説得に負けるのですが、90分の映画『毛虫のボロ』という構想があったのです。

宮崎監督は鈴木の説得に応じて、次回作を『もののけ姫』に決めた。しかし、それでも宮崎監督は『毛虫のボロ』にもかなり愛着があったようで、短編『On Your Mark』の作業終了後に、改めて企画書をまとめてもいたようだ。

ジブリの教科書10『もののけ姫』より

なお、鈴木敏夫プロデューサーが『もののけ姫』にこだわった理由は以下のとおりです。

  • おとなしい作品(おもひで、ぽんぽこ、耳をすませば)が続いており、活劇らしい活劇をやりたかった
  • バブル崩壊でジブリの母体である徳間書店が不良債権問題を抱えており、興行的成功が必要だった

こういった本音を秘めつつ、以下の建前で宮崎駿監督を説得したと鈴木敏夫プロデューサーは語っています。

  • 還暦が近い宮崎駿監督は、力業で本格的な活劇を作るのはラストチャンスかもしれない
  • 社員化したスタッフが力をつけており、その力をフルに発揮させるべきだ
  • 過去作品が成功してきた今なら、いつもの倍の予算で映画を作れる

結果的に宮崎駿監督は『毛虫のボロ』ではなく『もののけ姫』を制作し、そして大ヒットを生むことになります。

ここで『もののけ姫』ではなく『毛虫のボロ』を作る世界線も・・少し見てみたい気がします(笑)

ピクサーとCG作品に挑戦する可能性があった

『毛虫のボロ』の企画が発表された際、「宮崎駿監督の本格CG作品!」とアピールされていました。

(結果的には制作・修正の過程で多くの箇所を手書きに戻したため、CG中心の作品というわけではありませんが)

このCG作品を作るにあたって、ピクサーと手を組む可能性があったのです。

ニッポンドットコムの鈴木敏夫プロデューサーへのインタビューで、以下の内容が明かされています。

初めてCG中心の短編に取り組むことになった宮崎監督に、鈴木氏が提案した選択肢は2つ―ジブリと長年の親交があるジョン・ラセター率いるピクサーのスタッフと一緒に作るか、それとも日本の若いCGスタッフと一緒に作るか。監督の答えは「日本のCGがいいよ。ピクサーの人は(話すのが)英語だからさ」だったとのこと。

ニッポンドットコムのインタビューより引用

語学の壁で結果的には日本のCGスタッフと組むことになりますが、ピクサーと作るスタジオジブリ作品も見てみたいですね。

構想のきっかけは漫画『空飛ぶあくま』

2018年にジブリ美術館で開催された『毛虫のボロ』展にて、構想のきっかけとなった漫画『空飛ぶあくま』が紹介されました。(『空飛ぶあくま』は12話短編漫画からなる『コグモの冒険』という作品の中の一話)

この漫画で受けた衝撃が、『毛虫のボロ』のきっかけとなっているのです。

実際にパンフレットの中では以下のように語っており、この発言の中の「漫画」は『空飛ぶあくま』と思われます。

子供の時、生きている毛虫に卵を産みつけて、卵から孵ったカリウドバチの子が毛虫の体の中を食い荒らし、中身のなくなった毛虫の中からカリウドバチが出てきて飛んでいくという漫画を見たんですよね。あれには恐れおののきました。

『毛虫のボロ』パンフレットー宮崎駿監督発言より

本当は「時間」をテーマにした内容も描きたかった

『毛虫のボロ』のメインテーマは「視点」といえるでしょう。

1ミリの毛虫から見える世界を、壮大な想像力で描いています。

一方で、本当は「時間」をテーマにした内容も描きたかったのだ、という裏話が鈴木敏夫プロデューサーのラジオで明かされています。

本当はね「時間」もやりたかったんですよね。どういうことかって言ったら、毛虫の命って短いわけですよ。でもそれは人間の一生に相当するわけでしょ、そうすると1分1秒が人間とは感覚が違う、そしたらそれをどう表現するか。これは(宮崎駿監督は)悩んでましたよね。残念ながら、それはあの中ではできなかった。

ラジオ「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」より

米津玄師さんをゲストに迎えるラジオの中での発言で、このラジオは以下リンクから聞くことが出来ます。

外部リンク:鈴木敏夫のジブリ汗まみれ

※ちなみに米津玄師さんは『毛虫のボロ』を大絶賛しています。

短編アニメーションの中では「時間」のテーマは描けなかったようですが、90分の長編映画なら丁寧にこのあたりも見せてくれたのかもしれません。

宮崎駿監督の発想、想像力に脱帽です。

『毛虫のボロ』を実際に見た感想

ストーリーは割と平凡なのですが、その世界観に圧倒されました。

1ミリの毛虫の世界は、こうやって表現するのか・・!と宮崎駿監督の想像力に驚かされました。

ボロの世界では水色のキューブがフワフワと漂っており、ボロはこれをうまそうに口にします。

「水滴か何かかな・・?」と想像しましたが、正直これが何なのか、その場では分かりませんでした。

その後パンフレットを読み、これが「空気のゼリー」と呼ばれていることを知ります。

なるほど、毛虫の世界では空気も「目に見えるもの」であり、「意図的に口に入れるもの」なのです。

『毛虫のボロ』の小さな冒険は、しっかりストーリーとして成立していますが、この冒険自体は近所の一角の非常に小さな世界です。常人であれば見落としてしまう世界です。

そこに目をつけて成立している『毛虫のボロ』は素晴らしい作品だと感じました。

【どこで見れる?】『毛虫のボロ』が見れるのはジブリ美術館だけ

『毛虫のボロ』を見ることができるのは、三鷹の森ジブリ美術館だけです。

動画配信も無ければ、DVDも販売されていません。

また、ジブリ美術館でも常に見れるわけではありません

ジブリ美術館の小さな映画館「土星座」では、10種類の短編アニメーションが定期的に入れ替えで上映されています。

上映スケジュールを確認したうえで、ジブリ美術館のチケットを確保する必要があるのです。

上映スケジュールや作品の一覧等、土星座の詳細は以下の記事で詳細にまとめていますので、ぜひ合わせてご覧ください。

また、『毛虫のボロ』制作の様子に密着したドキュメンタリー番組『終わらない人 宮崎駿』もオススメです。

風立ちぬ制作後の引退宣言後の様子を追った番組で、『毛虫のボロ』のCGに悪戦苦闘する様子が収録されています。

DVDになっていますので、ぜひご覧ください。

「ドキュメンタリー番組のDVDを購入するのはちょっと・・」という方はTSUTAYA等のDVDレンタルもオススメです。(私はTSUTAYA DISCASでレンタルしました)

『毛虫のボロ』をさらに一層楽しめるようになりますよ。

当記事の拡散は大歓迎です

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