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【崖の上のポニョ】津波・震災を予言?一時はテレビ放送禁止に?

崖の上のポニョ_ 震災

当記事では、『崖の上のポニョ』の津波に関するエピソードを紹介します。

『崖の上のポニョ』は2008年に公開され、その後2011年、東日本大震災で日本は津波の被害にあいます。

こうした流れから、「ポニョは津波を予言した映画」と言われることもあり、一時はテレビ放送の自粛が噂されることにもなりました。

センシティブな話題ですが、できるだけ丁寧に解説しますので、参考になれば嬉しいです。

以下の記事では『崖の上のポニョ』のストーリーを徹底解説しています。

なかなかボリュームの多い記事ですが、この記事でポニョの理解が深まれば嬉しいです。

筆者のプロフィール
  • スタジオジブリから徒歩圏内の小金井市在住のジブリオタク
  • 好きな場所は三鷹の森ジブリ美術館
  • 最も好きな作品は「風の谷のナウシカ」

当記事は結末等のネタバレを含みますのでご注意ください。

目次

『崖の上のポニョ』といえば象徴的な「津波」

崖の上のポニョ-スタジオジブリ 場面写真より

『崖の上のポニョ』で最も印象的なシーンに挙げられることが多いのが、この「ポニョが帰ってくる場面」です。

人間になったポニョが、大津波とともに宗介の元にやってくるシーンですね。

この大津波は町をのみこみ、町は海に沈んでしまいました。

波を魚のように表現する等、前例のない表現技法が話題となりました。

この豪快で激しい津波のシーンは、「震災を思い出す」「怖い」といった声も多い場面なのです。

金曜ロードショーで一時放送禁止状態に?

『崖の上のポニョ』は一時、金曜ロードショーで放送禁止状態になっていたという噂を聞いたことはありますでしょうか。

東日本大震災の被災者に配慮して、『崖の上のポニョ』を日本テレビが自粛しているという噂です。

ただこれはあくまでも噂にすぎず、実際には金曜ロードショーで放送されています。

金曜ロードショーで放送された『崖の上のポニョ』

  1. 2010年2月5日
  2. 2012年8月24日
  3. 2015年2月13日
  4. 2017年9月22日
  5. 2019年8月23日
  6. 2022年5月6日

※『崖の上のポニョ』の公開は2008年7月19日
※東日本大震災は2011年3月11日

放送実績を見ていただくと、特に放送禁止にはなっていないことが分かるのではないでしょうか。

震災の約1年半後には放送されており、基本的に3年以上の間隔が開くことはありません。

一方で、2012年の金曜ロードショー放送時には「震災を思い出してしまう」「配慮がないのではないか」という批判の声が上がったことも事実です。

こうした批判の声から「ポニョは放送禁止状態になった」と解釈した方も多かったのでしょう。

実際に日本テレビやスタジオジブリが『崖の上のポニョ』を自粛した公式な声明はありません。

宮崎駿監督は災害を予言していたのか?

『崖の上のポニョ』に限らず、宮崎駿監督はしばしば災害を予言したのではないかと思われるシーンを描きます。

これについて鈴木敏夫プロデューサーは「必然である」と以下のように語っています。

もともと宮さんにはペシミスティックなところがあって、栄枯盛衰の「栄」「盛」を見ると。必ず「枯」「衰」を想像する人なんです。だから、映画の中でもそれを描く。

時代がバブルで浮かれているときも、宮さんは常に大量消費社会を批判してきました。

冷静に考えれば、そんな時代がいつまでも続くわけはないんで、栄のあとには必ず枯が来る。だから、宮さんが描いたことが現実になるのは、偶然であり、必然でもある。

ジブリの教科書 崖の上のポニョより引用

宮崎駿監督は悲観的に物事を観察しており、その視点が作品にも反映されているというわけです。

宮崎駿監督の「予言」としては、実際には以下のような作品が挙げられます。

  • 『崖の上のポニョ』で描かれた「津波」
  • 『風立ちぬ』で描かれた「大震災」
  • 『On Your Mark』で描かれた「原発事故」
  • 『風の谷のナウシカ』で描かれた「マスクが必須の世界」

それぞれについて、簡単に紹介します。

『崖の上のポニョ』で描かれた「津波」

本記事でも紹介した、『崖の上のポニョ』の津波の場面です。

この場面はやはり「東日本大震災」を連想する方が多いですね。

『崖の上のポニョ』の公開後3年経たないうちに、東日本大震災が発生しました。

  • 『崖の上のポニョ』の公開 : 2008年7月19日
  • 東日本大震災 : 2011年3月11日

また、東京の初日舞台挨拶の際には、宮城県で震度4の地震が発生しており、津波注意報も発令されています。

このとき宮崎駿監督は「ポニョがいる」とつぶやいたというエピソードが残っています。

『風立ちぬ』で描かれた「大震災」

『風立ちぬ』では、1923年の関東大震災をモデルとした大震災の場面が描かれています。

実はこの場面の絵コンテが完成したのが、2011年3月10日だったというのです。

つまり、東日本大震災が発生する前日です。

東日本大震災を受けて、宮崎駿監督も内容を変更するか悩んだようですが、鈴木敏夫プロデューサーと相談したうえでそのままとしたことがインタビューで語られています。

時系列に並べてみると、この偶然には驚かされるばかりですね。

  • 『崖の上のポニョ』の公開 : 2008年7月19日
  • 『風立ちぬ』で震災の絵コンテを描く : 2011年3月10日
  • 東日本大震災 : 2011年3月11日
  • 『風立ちぬ』公開 : 2013年7月20日

『On Your Mark』で描かれた「原発事故」

短編映画ではありますが、『On Your Mark』でも重たいテーマを扱っています。

『On Your Mark』では荒れ果てた世界が描かれていますが、これは放射能で汚染された世界です。

これに関しては宮崎駿監督自身が明確に発言しています。

いわゆる世紀末の後の話。放射能があふれ、病気が蔓延した世界。実際、そういう時代が来るんじゃないかと、僕は思っていますが。そこで生きるとはどういうことかを考えながら作りました。

出発点-宮崎駿-(徳間書店)より引用

宮崎駿監督はこの設定を1995年に描いています。

チェルノブイリ原発事故(1986年)よりは後ではあるものの、福島第一原発の事故(2011年)の10年以上前の作品です。

まだ日本で原発批判の機運が高まる前の時代ですので、宮崎駿監督の着眼点には驚かされます。

『On Your Mark』については以下の記事であらすじから裏設定まで詳細にまとめていますので、ぜひ合わせてご覧ください。

『風の谷のナウシカ』で描かれた「マスクが必須の世界」

『風の谷のナウシカ』の世界には瘴気が溢れ、人々はマスク無しでは安心して生活できない世の中でした。

この状況を、コロナ禍と関連付ける意見が増えてきています。

もちろん、直接的にはナウシカの瘴気とコロナは全く別物です。

それでも、30年以上前の作品が現代になって新たな意味を持つというのは、なんとも不思議で面白いですね。

『崖の上のポニョ』の記事執筆における参考書籍

まつぼくらぶでは『崖の上のポニョ』の記事を執筆するにあたり、主に以下の書籍を参考にしています。

  • ジブリの教科書15 崖の上のポニョ(文春ジブリ文庫)
  • ロマンアルバム 崖の上のポニョ(徳間書店)
  • スタジオジブリ絵コンテ全集 崖の上のポニョ(徳間書店)
  • THE ART OF Ponyo on the Cliff(徳間書店)
  • 続・風の帰る場所(ロッキング・オン)
ジブリの教科書15 崖の上のポニョ(文春ジブリ文庫)

過去のインタビュー内容等を参考、引用しています。

編集:スタジオジブリ, 編集:文春文庫
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ロマンアルバム 崖の上のポニョ(徳間書店)

インタビューや設定情報が記載された公式のムック本です。

スタジオジブリ絵コンテ全集 崖の上のポニョ(徳間書店)

『崖の上のポニョ』の制作に使用された絵コンテです。

THE ART OF Ponyo on the Cliff(徳間書店)

イメージボードやアフレコ台本等、制作時の資料が多数掲載されています。

続・風の帰る場所(ロッキング・オン)

ここでしか語られない、独自インタビューが掲載されています。

ポニョについても70ページ近くのボリュームで語られており、参考になります。

なお、作品の画像はスタジオジブリ公式サイトから無償提供されている場面写真を使用しております。

崖の上のポニョ スタジオジブリ場面写真

当記事の拡散は大歓迎です

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